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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

パス1対1でのディフェンスのコンセプト

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

前回のマンツーマンディフェンスの練習方法「パス1対1」についての続きを書きたいと思います。

 

前回、マンツーマン・ディフェンスの練習としてパス1対1について書きました。

 

 

この練習を成田ベアーズとの合宿でやってきました。

 

シチュエーションを決めておく

前回の記事で書き忘れていましたが、この練習をするときにダウン数やファーストダウン、タッチダウンまでの距離なののシチュエーションをしっかりと設定してやったほうがいいです。

 

というのは、ディフェンスが何をすべきかというのはそういったシチュエーションに依るからです。

 

タッチダウンまで残り3ヤードであればエンドゾーンでのパスが成功するかどうか、という話しかないので、ディフェンスとしてはリスクを冒してでもにパスカットを狙うしかありません。

 

ファーストダウンまで残り15ヤードしかない状況であれば、そのような守り方はできません。

 

ディフェンス側として、どのようなパスをされたら困るのか、どのようなディフェンスをすることでオフェンスを困らせることができるのか、ということを考える必要があります。

 

こういった考えて、自分のプレーのコンセプトを決めていくような作業を繰り返していくことで、5対5の試合でもできるようになってきます。

 

以前書いた「確認作業」の深さ、緻密さが変わってきます。

 

当然、オフェンス側としてもシチュエーションによってやるべきことが違っていくので、そのときの状況でどのようなコースを走るべきか、というのを考える必要があります。

 

オフェンスとディフェンスのどちらも同じ状況を設定しながらやらないと、ディフェンスは残り5ヤードでショートパスを警戒しているなか、オフェンスは30ヤードのロングパスを投げたところでそれは全くの無意味となります。

 

話はそれますが、5対5のプレー合わせ(試合形式ではなく、作戦を確認していく練習)でもなるべくシチュエーションは設定したほうがいいと思っています。

 

前述の通り、状況によってディフェンスの意識は変わっていくので、序盤の多少進まれてもロングパスはやられないようにしているディフェンスを相手に5ヤード取れればいいだけのトライフォーポイント用のプレーを練習してもあまり効果はありません。

 

 

話を戻します。

 

残り7ヤードをどう考えるか

合宿中にやったシチュエーションは「4th&7△」(中学生がメインだったので4回攻撃です。△はファーストダウン獲得後。つまり、ラストダウンでタッチダウンまで残り7ヤードということです)でした。

 

残り7ヤードという距離をどう考えるのか、というのがひとつの課題です。

 

 

5ヤードフックでは足りないので、多少投げきるのが難しい7ヤード以上のフックを投げるか。

 

ランアフターキャッチ(パスをキャッチした後にフラッグが取られるまで走ること)で距離を稼げるようなコースを投げるのか。

 

エンドゾーン10ヤードの幅を使って、エンドライン際、ディフェンスの頭をふわりと越すようなパスを投げるのか。

 

 

残り7ヤードを残したときにマンツーマン・ディフェンスで守るとき何を警戒するのかというと、早いタイミングのパスです。

 

なぜなら、QB側からすれば早いタイミングのパスは距離が近く、ブリッツが来る前なのでプレッシャーが掛からないため、パスの成功率が高いからです。

 

スナップですぐにボールの縫い目に引っ掛けて投げるというのは難しいとか、レシーバーが近い距離で比較的スピードの速いパスを受けるのは難しいとか、そういった要素はもちろんあります。

 

しかし、エンドライン際のパスの場合はブリッツのプレッシャーを受ける可能性が高く、ディフェンスとレシーバーのスピードを見極めて正確な位置に落とすパスを投げるのに比べれば簡単です。

 

 

つまり、タッチダウンまで残り7ヤードでマンツーマンディフェンスをするとすれば、その基本コンセプトは、早いタイミングのパスを阻止して、成功率の低いパスを投げなければいけない状況に持っていく、というのが妥当です。

 

となれば、ディフェンスはプレー最初の2秒間ほどの時間をしっかりカバーできるように、レシーバーの近くにセットするしかありません。

 

ディフェンスのコンセプト

1.近くにセットしておいて早いタイミングのパスは通させない。

 

2.裏に走られれば頑張って追ってブリッツのプレッシャーでパスミスするのに期待。

 

という感じです。

 

パスミスに期待、と言っても、裏に走られたら諦めて追わなかったらレシーバーの捕球範囲を広げてしまうので、なんとかレシーバーの前に立ちはだかるなり、偶然当たるのを期待して手を上げてみるなりして、「ここに投げられたらどうしようもないポイント」以外は防げるようにします。

 

裏に抜かれてしまったらとりあえずレシーバーだけを見て、捕球しそうなところに手を上げてジタバタしてみればもしかしたらレシーバーはそれを見てプレッシャーを感じるかもしれません。

 

(ただし、ボールを見ずに手を上げたりする行為は反則とするルールもあるので要注意です。NFL FLAGはレシーバーに接触しなければOKですがレシーバーのキャッチを妨害したと判断されてしまう場合もあるので、レシーバー方向ではなく、自分の真上に手を上げるのがいいと思います。)

 

 

レシーバーをカバーしている間の距離感ですが、残り7ヤードであればエンドゾーン内でパスキャッチされたらダメで、7ヤード以内だとしても捕った瞬間にフラッグを取なくてはいけないので、かなり近くなります。

 

前回の記事で、レシーバーとディフェンスとのセット時の距離は2人のスピードやテクニックの差を考えて、というように書きましたが、レシーバーとディフェンスの並走時であれば、その距離はQBのパスの精度に依ります。

 

どんなに密着してレシーバーについて行ったとしても「ここに投げられたらどうしようもないポイント」というのはあります。そのポイントから直径1m以内にしかパスが来ないQBを相手にしているのであれば常にレシーバーから1m以内の範囲にディフェンスがいないとパスカットすることはできません。

 

 

パス1対1という単純な練習であっても、ディフェンスが考えなければいけないことがたくさんあることがわかります。5対5であればさらに増えます。

 

なのに、5対5だけをやっているとテキトーに流してやっていてもとりあえずできている感じになるので、要素を切り取った形で細かく考えていく癖をつけていくことで、結果的に5対5での強さが身につくのではないかと考えています。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)