今回はフォーメーションの使い方について書きたいと思います。
前回は「右ツイン ノーバック」でのコンセプトとポジション配置について書きましたが、他のフォーメーションの使い分けやそれぞれのコンセプトについてです。
まず、前回少しだけ書きましたが、内側にセットしていたレシーバーを少しだけ下げてRBとして使うフォーメーションです。
このフォーメーションは「右ツイン ノーバック」ではあまり使えなかったランプレーができるので、プレーアクションパスを使って相手LBやCBを狙いたいときに使います。
こういった感じです。
ランプレーの方向に2,3歩ディフェンスが動いてくれれば、レシーバーはスピード勝負に優位につけるのでランアフターキャッチにも期待ができます。
ロールの方向と逆で投げづらいですが、【C】のコースを5ヤード地点で左に45°曲がるコースに変更すると、ランに反応したCBを裏を狙うようなプレーになります。
こういったプレーアクションパスを成功させるためにはよりディフェンスにランプレーを意識させなくてはいけません。ランプレーをLBとラッシャーだけで対処されてしまうと効果が薄くなってしまいます。
CBやSがそのサポートにいきたくなるようにそれまでにランプレーで進めておくことが重要ですし、それができるRBがチームにいないとプレーアクションパスでもなかなか進めることができません。
ランプレーで進めることができると判断すればパスプレーも比較的しやすいので、積極的に使っていけるフォーメーションです。
少しトリックプレーですが、QBがスナップ直後にRBにトスして、「RBがパスを投げる、ダメなら走る」というような作戦をすることができます。
ランプレーを意識させておいて、少し変化をつけると一気にビックプレーを生むことができます。
次に「左ツイン ノーバック」です。
右ツインから左ツインになった場合、右サイドに1人レシーバーが配置されていて、ディフェンスとはマンツーマンに近い状態でカバーされることが予想できます。
その状況のなか右サイドにエースレシーバーを配置すれば、QBから見やすい右サイドで、他のレシーバーがいない広いスペースのなかでディフェンスと1対1に持ち込むことができます。
右サイドでの1対1を優位に進めることができればひたすらそこのマッチアップを攻めることで得点することができます。
逆に、1対1でそこまで優位に進めることができないと、見にくい左サイドで勝負していかなければいけないので苦しくなってきます。
エースレシーバーがディフェンスに対してどこまで優位に立てるか、というのがこのフォーメーションを使うときにポイントになります。
また、スナップ直後に投げやすい左サイドに2人レシーバーがいるので、タイミングの早いパスを右サイドよりも複雑に行うことができるというのもこのフォーメーションでの利点です。
次に「右トリップス」です。
このフォーメーションは片方のサイドに3人のレシーバーがいるため、複雑なコンビネーションを組むことができます。
そのため、マンツーマン・ディフェンスに有効な「交差するルートを使う」ことや、ゾーン・ディフェンスに有効な「数的優位を作る」ことを優位に行うことができます。
マンツーマン・ディフェンスに対してはこんな感じ、
ゾーン・ディフェンスに対しては、こんな感じでしょうか。
このフォーメーションはこのようにディフェンスに対して明確な対策を立てやすい反面、ディフェンスもこのフォーメーションからやってくることがわかっているので守り方を変えてくる可能性があります。
例えば、普段はマンツーマン・ディフェンスだけど、トリップスの場合はゾーン・ディフェンスに変更になるようにあらかじめ決めておく、といった感じです。
そうなってくるとオフェンスはディフェンスとの駆け引きのなかでこのフォーメーションを使っていかなければいけなくなります。
一か八かの勝負所でこのフォーメーションでビックプレーを狙う、というのも一つの手ですが、堅実にいくなら序盤のあまり重要ではない状況でこのフォーメーションを使って、ディフェンスがどのような対応をするのかをチェックしておきます。
そして、その対応の仕方を見ておいてもう一度同じ対策をしてきたら一気に得点を奪えるようなビックプレーを終盤の切り札として取っておきます。
弱点がわかったからといって序盤からたくさん使っていくとパターンが読まれ、ハーフタイムで新たな対応をしてくることになります。そうなるといくら序盤で点数取れていても終盤苦しくなってきたときに決め手を欠いてしまうことになってしまいます。
なので、相手の情報を手に入れつつ、こちらの情報を渡さないように大事に使っていくのがこのフォーメーションのポイントです。
このほかにもたくさんフォーメーションがありますが、長くなってしまうのでここまでにします。
Kyohei