Written by Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回はリリースまでの時間について書きたいと思います。
ボールを長く持つことのデメリット
フラッグフットボールの中学生以上のルールには「7秒ルール」というものがあり、QBはスナップから7秒以内にフォワードパスを投げるか、ハンドオフしてボールキャリアがスクリメージラインを越えなければいけません。
じゃあ、オフェンスは5秒6秒掛かってパスをするような作戦を考えるのかというとそれは現実的ではありません。
なぜならQBが毎回5秒も6秒もラッシュから逃げるのは面倒だからです。
面倒と言ってもいろいろあります。
まずは、それだけQBがラッシュから逃げ回っていれば自然とどちらかのサイドに行くことになります。左右非対称性についての記事で書きましたが、一方のサイドに流れると投げられる範囲を限定させてしまいます。
特に右投げのQBの場合、左に流れてしまうとなかなか右サイドに投げられなくなってしまいます。
投げられる範囲が限定されるということは、レシーバーが走りこむ範囲が限定されるということです。そうなると、レシーバーはディフェンスとの戦いにおいて不利になってしまいます。
通常のロールアウトやスプリントアウトでは対称的なディフェンスのゾーンにレシーバーが非対称的(QBがロールした方向にレシーバーが多く走りこむ)に攻めることで数的有利を作り出しています。
ただ、レシーバー4枚が右サイドに走り込んでいるのにディフェンスはいつまでも「2-2 ZONE」で守っているわけがないのである程度の時間が経てばゾーン無視してレシーバーを追うはずです。
なので、時間を掛けてサイドが限定されてしまうとオフェンスが不利に働きます。
同じ話かもしれませんが、時間が経てば立つほどディフェンスの動きを予想することが難しくなります。
前述の通りディフェンスはハドルで決めた作戦がありつつも、時間経過によって動きが変わっていきます。相手の選択肢が多ければ多いほどそれを予想し、その対策を立てることが難しくなります。
よっぽどレシーバーのフィジカルがよくて1対1に勝てるのであれば、QBがボールを長く持ってそのレシーバーが空くまで待つということも一応考えられますが、作戦のメインにするには心許ないように思います。
ということで、QBとしてはなるべく早めにパスを投げてしまうのが理想的です。
早く投げることでのメリットとデメリット
投げるタイミングが早ければラッシュにフラッグを取られて攻撃開始地点が下がってしまったり、どちらかのサイドに逃げていって投げられる範囲を限定される心配がありません。
また、2秒前後でパスを投げる場合、その間のディフェンスが動ける範囲や選択肢は限られるので予想が立てやすくなります。
デメリットを挙げるとすれば、QBがフィールド中央で横の範囲が限定されない反面、レシーバーが敵陣深くに上がる時間があまりないので、縦の範囲が限定されてしまいます。
極端に言うと、レシーバーがディフェンスを抜くのを待たずに投げて、ボールが空中にある間に抜くイメージを常に持たなくてはいけません。
これはなかなか難しくて、レシーバーがディフェンスを抜いてくれることを予想、もしくはそれを信じて投げなくてはいけませんし、QBが思っているコースとレシーバーの思っているコースがズレてしまえば即インターセプトもありえます。
また、ロングパスに限らずレシーバーが空いた一瞬を狙うことが多いので、よりタイミングがシビアになりキャッチしづらくなってしまいます。
このあたりはレシーバーの技術との相談です。
スナップしてすぐに走りこんで速いパスをキャッチできるのであればトライフォーポイントの5ヤードは簡単に取れるようになるはずです。
アメフトでオフェンスのテンポが重要視されることがありますが、QBのリリースタイムが早いとチーム全体に勢いが出てきます。
試合中の形勢判断のひとつとして、QBが早いタイミングでパスが投げられているかどうかということも挙げられると思います。
実際、自分のこの前の大会でも早いタイミングのパスがうまくいかなくてサックされたりサイドへのロールを余儀なくされて苦しい展開になってしまいました。
早いタイミングでショートパスを進むのをまずはメインに考えた上で、それに相手ディフェンスが対応してきたときにどうするか、というのが一番無難なゲームプランなのかな、と思っています。
ということで、QBのリリースタイムについてでした。