Written by Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は昨日行われましたJAPAN X BOWLについて書きます。
引用:JAPAN X BOWL vs IBMビッグブルー Xリーグ2014 秋季リーグ フロンティアーズ : 富士通
JXB
「JAPAN X BOWL」(以下、JXB)というのは、アメフトの社会人リーグ「X League」の決勝戦のことを言います。
ちなみに、大学生リーグの決勝戦が「甲子園ボウル」と言い、双方の優勝チームで日本一を決める試合を「Rice Bowl」と言います。
今回のJXBは「富士通 フロンティアーズ」と「パナソニック インパルス」の対決でした。
フロンティアーズはJXBの常連チームでもともとの堅守に加えて、近年はQBにアメリカのカレッジフットボールで活躍したプレーヤーが来て一気に隙のないチームになった感があります。
インパルスはどっちかというと古豪という印象で所々黄金期はあるものの最近では結果が出ず、今回が5年ぶりの出場です。こちらのQBも日本代表で、今シーズンでの引退宣言をしています。
試合結果はこんな感じです。
フ 7 0 7 7 | 21
イ 0 7 3 14 | 24
インパルスの前半のオフェンスは正直やる気あるのかな、ってぐらい似たようなプレーでつぶされてFGレンジにすら進めない状態でした。スプレッドでオプションっぽいプレーからずっとRBに入れてたのできっと伏線なんだろうと見ていました。
一方、フロンティアーズは得意のパスオフェンスをノーハドルでどんどん攻めにいっていました。ただ、FGレンジから4thダウンギャンブルのフェイクでキックするというちょっとよくわからないトリックプレーを失敗するなど、優勢に進めているわりには試合を支配しきれていませんでした。
ディフェンスも両チームが対照的な印象です。
インパルスのほうはマンツーマン・ディフェンスをメインにしてどんどんブリッツを仕掛けているもののQBを捉えきれず、きっちり縦にストレッチしたところを狙われていました。
フロンティアーズは2Deepゾーンでじっくり構えてリスク回避しながらしっかりとランを止めることができていました。
前半残り1分になったころ、この印象が全く逆になっていきます。
残り1分でフロンティアーズの攻撃。インパルスのディフェンスが外レシのショートを止められてなかったので、そこをきっちり通して時間止めながらFGを狙うんだろうな、と思っていました。
アメフトではボールキャリアがサイドラインを割るとゲームクロックが止まります。なので、時間がないときはパスキャッチしたあとにサイドラインから出られるように外側に向かうようなパスプレーを中心に考えていきます。
フロンティアーズとすれば前半7-0でOK、できればFGで10-0にできればいいな、ぐらいに考えてたと思います。なのに、まさかのインターセプト。しかも、それまで何度も通されていた外レシへのショートパス。
前述の通り、時間がないときにはフィールドの外側でのプレーがセオリーになりますが、ディフェンスも当然それは知っています。
チーム全体として3Deepゾーンとかにしたのか、それとも個人の判断なのかわかりませんが、勝負所を読み切っての成功だと思います。
インパルスとしては、先攻というところが少し気になるところではありますが、相手の強力オフェンスに対して同点なら御の字。フロンティアーズとしては、前半飛ばしてゲームの主導権を握っていくはずが、まさかの同点で流れも渡す結果になってしまいまひた。
後半になると、インパルスのランオフェンスが出るようになります。
あまりプレー自体に変化があるようには見えなかったのですが、なにかしらアジャストしているんだろうと思います。
フロンティアーズはオフェンスで時よりビックプレーが出るもののライン戦で後手に回り、大事なところでインターセプトされてしまったのは痛すぎました。11点差リードでFGで十分なところをTD取りにいってインターセプトされ、その後の攻撃でインパルスがTDを決め5点差にし、2ポイントコンバージョンを失敗したあとにまたインターセプトされるという最悪の展開でした。
ディフェンスがちゃんと見られなかったので狙いのインターセプトかどうかわかりませんが、どちらもゾーンの網にうまく引っかかった感じだと思います。
最終盤、インターセプトから流れをたぐり寄せたインパルスはうまくミドルパスを通し逆転します。
それまでずっとインパルスのオフェンスを見ながら「もっと縦にストレッチしろよ」「ポスト投げろよ」なんて思っていましたが、最後の最後に縦とポストでTD取ったとなるとこれも伏線だったのかもしれません。
インパルスはオフェンスにしても、ディフェンスにしても、ゲームマネジメントができていたように思います。一方のフロンティアーズは前半で勢いに乗れないまま後半ズルズルとやってしまった印象です。
これで、「Rice Bowl」は「パナソニック インパルス」と「甲子園ボウル」で早稲田大学に勝った「立命館大学」の対決に決定しました。
Rice Bowlは社会人チームと大学生チームが対戦しますが、近年は社会人チームが大学生を圧倒しています。今回もインパルスが優勢だと思いますが、オープンなフレアーやヒッチをポロポロしたり、ディレイ回避で大事な後半のタイムアウトを2回も使うなどちぐはぐな部分もあったので、立命館に期待したいと思います。
リプレイを流して欲しい!
最後にイベントとしてのJXBについてですが、なんと言っても会場でリプレイを流してくれないのが相当不満に思いました。数えていたわけではありませんが、リプレイがバックスクリーンに流れたのは10回もありませんでした。だいたいが客席を映していましたが、それをやって喜ぶのは当人の3人だけだと思います。1万人はリプレイが見たいと思っているはずです。
会場でアメフトを見る場合、どう頑張っても全体を俯瞰して見ることは難しく、ボールを追っかけるか、注目ポイントだけを見てるか、になってしまいます。注目ポイントとは、例えばOLとDLのライン戦や、WRとCBのスピード勝負や、ディフェンス全体のアサイメントなどです。
そういった会場観戦ならでは注目ポイントを追っているとどんなプレーが起きたのか見逃す場合があります。そんなときにリプレイが重宝します。
あと、ビックプレーのリプレイが流れるともう1回会場が沸くんですが、そのときの会場の一体感が結構好きだったりします。
なので、リプレイがほぼなかったのは残念でした。
あとは、個人的にはハーフタイムショーで登場したMay J.さんはちょっと違うかな、と感じました。
たぶん、JXB的には大物のブッキングだと思います。でも、広いフィールドで彼女ひとり、コンサート仕様じゃない音響で「Let It Go」歌って盛り上がるわけがない、と予想していました。
正直、登場のときの盛り上がりがピークで、あとはロングトーンのときぐらいに沸いたぐらいで、肝心の歌は「何言ってるのかわからない」レベルでした。「Let It Go」も英語バージョンで肩すかし食らった感じだったと思います。
ですが、FacebookやTwitterを見ると「May J.よかった!」って人がいるのに驚いています。
自分は乃木坂46のほうがフィールド上で映えるし、乃木坂目的の観客はたくさんいるだろうし、音響イマイチでも歌下手だからあんまり関係ないし、個々人がブログとかで発信してくれるだろうし、よっぽど適任な気がします。
去年まで中川翔子さんがやっていましたが、彼女の独特な雰囲気もなかなか好きで、そういったアイドルのような半分アングラ的なジャンルと結びついたほうが楽しいと思っているのですが、アメフト界的には目指す方向は違うのかもしれません。
試合は最高でしたが、興行としてはイマイチでした。
「甲子園ボウル」も録画を見ますし、「Rice Bowl」もたぶん見に行くので、アメフト未経験の素人の試合レビューですが、気が向けばまた書きたいと思います。
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というわけで、JXBについてでした。