Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回はNFLのフリーエージェントの仕組みについて書きたいと思います。
NFLはいまオフシーズンに入り、主力選手がチームとの契約交渉ははじまっています。契約状況のニュースで「フランチャイズ指定」とか「トランジション指定」などが出ているのでそういった用語について調べてみました。
フリーエージェント（FA）
日本のプロ野球の場合、「フリーエージェント」と言えば、一定期間チームにいると他の球団と移籍交渉ができる権利のことを指しますが、NFLの場合はJリーグなどと同じく契約年数が切れればどのチームでも自由に移籍することができます。（入団4年目までは若干制限されます。）
チームはNFLが定めた年俸総額のなかで選手と契約しなければいけません。（保証額とボーナスでカウントの仕方が違ったりしますが、ややこしいので割愛します。）
短期契約にすると、チームの立場からすれば、活躍するたびに年俸が跳ね上がっていってしまうため、負担が大きくなる代わりに故障などでパフォーマンスが落ちればすぐにリリースすることができます。選手の立場からすれば、活躍すれば契約が切れるたびに条件が高いチームに移籍できますが、どこも契約してくれないリスクも負うことになります。
長期契約にすると、チームは年俸高騰による他チームへの流出は防げますが、契約年数を残した時点で怪我などしてしまうと支払った分が無駄になってしまいます。選手からすれば年俸が上がりにくい面はあるものの、パフォーマンスが落ちてしまっても年俸をもらえるというメリットがあります。
いくらで何年契約にするか、というチームと選手の一種の駆け引きは他のスポーツとだいたいは一緒だと思います。ただ、NFLには少し特殊な契約体系があります。
それが「フランチャイズ指定」と「トランジション指定」です。この2つはフリーエージェントがフリーとなり他チームとの交渉が解禁になる前にチームが選手にオファーを出します。
フランチャイズ指定
フランチャイズ指定は「非独占」と「独占」があります。
独占フランチャイズ指定
「独占フランチャイズ指定」のオファーを受けてサインした選手は他のチームと自由に契約することはできません。その見返りとして同じポジションの選手の年俸上位5人の平均か前年度の120％か高い方の額が約束されます。契約年数は1年です。
非独占フランチャイズ指定
「非独占フランチャイズ指定」の場合は他のチームとの交渉、契約が可能です。オファーを受けた選手は、「過去5年間の」同じポジションの選手の年俸上位5人の平均か前年度の120％か高い方の額が約束されます。契約年数は1年です。他のチームと交渉して移籍する場合にはその補償としてドラフト1巡指名権2つを旧チームに譲渡しなくてはいけません。
独占と非独占とを比較すると、年俸面も条件面も独占のほうがチームへの負担は大きくなっています。
トランジション指定
「トランジション指定」のオファーを受けた選手は同じポジションの選手の年俸「トップ10」の平均か前年度の120％の高い額が約束されます。他チームとの交渉、移籍は可能で、ドラフト指名権などの見返りもありません。ただし、提示額が同条件であれば旧チームが移籍を拒否できる権利があります。
フランチャイズ指定よりもトランジション指定のほうが年俸は安くチームの負担は小さいと言えます。
このフランチャイズ指定かトランジション指定ができるのは1チームに1人のみで、各チームの有力選手が指名を受けます。
ただし、前年度の120％という条件もあるため、毎年同じ選手を指名していくとスグに同ポジショントップの年俸額になってしまいます。なので、どの選手にどの指定をするかというのを追うことでチームの来年度に向けた契約の方針が見えてきます。
有力FA選手が2人いた場合、一方を指名してしまえば、もう一方は移籍してしまうことを覚悟しなければいけません。指定した選手にお金が掛かってしまうため、もう一方の指定しなかった選手の移籍を食い止めるだけの総年俸の空きがなくなってしまうためです。
推しチームや推し選手がいる人はこういった契約を注目するとさらにNFLがおもしろくなると思います。
さらに詳しいことを知りたい人は下のサイトを読んでみてください。
NFL JAPAN.COM｜もう一度おさらい！フランチャイズ、トランジション指定とは
