Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回はスランプやプラトーについて書いていきたいと思います。
スランプとは
スランプは英語で「Slump」と書き、その意味は日本語でも英語でも、不調で本来の能力が発揮できないことやその状態のことを指します。
どんなスポーツにもスランプというものはつきものであり、長いシーズンを戦うプロスポーツ選手にとってはスランプをどう克服するのか、いかにスランプの時間を作らないようにするか、というのが安定的な成績を出すためのポイントになります。
スランプはプロスポーツだけの話ではなく、アマチュアスポーツでも多々起きることであり、なぜかよくわからないけど調子悪い期間というのは自分も経験しています。
その原因は体力的な原因、技術的な原因、心理的な原因など様々なものが考えられ、それによって解決策は変わってきます。
そもそもそれってスランプなのか?
しかし、何が原因で不調なのか、なぜスランプに陥ったのか、と考える前に、そもそもそれは「スランプ」なのか、ということについて考える必要があります。
というのは、そもそもスポーツでも何でも上手になるという成長は思うような曲線を描いていきません。
ある程度のレベルになるとちょっとやそっと練習したところでそれが成果として表れず、その微々たる成長を積み重ねていった先に一気に成果が表れます。
これのギャップを「スランプ」と表現するのは少し違います。
練習しているにも関わらず成果が表れないことで、期待とは違う成長曲線を想定しがちですが、もう少しで成果がではじめるところで、スランプ(というか伸び悩み)と勘違いして方向転換をしてしまってはそれまでの練習が無意味なものになりかねません。
なので、安易に「成果や成績が出ない」=「スランプ」と捉えて何か対策を取ってしまうのは危険なことだとも言えます。
スランプではなくプラトー
もう少し大局的に成長曲線を示すと、S字曲線になります。
はじめて間もない頃は一気に伸びて、ある程度のところまでいくと前述のような状態になっていきます。本当は練習や経験をすることで比例的に伸びていくのが理想的ですが、どんなものでも「壁」というものが存在します。
ギターでいうところの「Fコード」です。
引用:コードの基本 Fの押さえ方 ギター初心者のお悩み解決所
ちょっと練習すればCDEGAあたりはスグできるのに、Fはこの人差し指をマスターしないと鳴らないのでこれが「壁」になります。これができればBもできますし、他の技術も一気にできるようになります。
スポーツではギターのような見える壁がないためにわかりづらいですが、「こういう感覚がわかってきたら一気にうまくなる」みたいな話は多々ありますし、「最後まであれができずに断念した」ということもあります。
重要なのは下の赤丸で囲んだところは「スランプ」ではなく「プラトー」と呼ばれる状態だということです。
「スランプ」なのか「プラトー」なのか、というのは言葉の定義の話なのでどちらでもいいのですが、気をつけなければいけないのは「プラトー」は「スランプ」と違って成長していくために必ず必要なものであるという点です。
プラトーとは
プラトーとは、英語で「Plateau」と書き、高原の意味です。一時的な停滞期のことを言います。
ネットの用語解説には心的飽和や疲労によって起きると書いてありますが、そのへんは見解が分かれるところだと思います。個人的には適切な成長において不可避なものと捉えています。
スランプは練習の割に伸びないということではなく、短期的に何らかの影響でパフォーマンスが安定しない状態のことで、下図のようなイメージです。
上の図をずっと拡大していくと、こういう時期があるという感じです。
自分のパフォーマンスが思ったより上がっていない、下がってしまっている、というときには自分がスランプなのかプラトーなのかを判断することが必要です。
スランプなのであればそれが長引かないように対策を立てた方がいいですし、プラトーであれば次のレベルに進むための試練と考えて我慢することも必要になります。
肝心のこの2つのどちらかなのかを判断する方法については正直わかりません。自分よりレベルの高い人はプラトーを経験しているはずなので壁を何となく認知しているはずです。
そういう人に判断してもらうしかないように思います。
あとは、スランプは往々にして心理的な要因が大きいので、仮にスランプだとしても「次のレベルに上がるためのプラトーだ」とポジティブに捉えることで意外とスランプを脱出できるかもしれません。
いずれにしても、「スランプ」と「プラトー」の概念は知っていて損はないと思います。
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ということで、スランプとプラトーについてでした。