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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

フラッグのQBは投球制限したほうがいいのか

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

今回は、フラッグフットボールのQBも野球と同じく投球制限したほうがいいのかどうか、について書いていきたいと思います。

https://pbs.twimg.com/media/CAwo5MuVIAAVvHo.jpg

引用:https://twitter.com/generals_gu/status/579883415987589120

 

野球の投球制限

いまや「ピッチャーの肩や肘は消耗品」というのは常識となっており、先発投手はメジャーリーグでは100球、日本のプロ野球では120球を目安に交替するようになっています。(この違いは次の登板までの日数によって生じています)

 

高校野球では200球完投が当たり前みたいなチームもありますが、優秀なピッチャーがプロ野球やメジャーに進んで故障するケースが多く、その原因が高校時代にあるとも言われています。

 

こういったことが背景となり、日本臨床スポーツ医学会は下記のような提言をしています。

青少年の野球障害に対する提言

投球数は、試合を含めて
小学生では、1日 50球以内、週200球以内、
中学生では、1日 70球以内、週350球以内、
高校生では、1日100球以内、週500球以内、が望ましい。
なお、1日2試合の登板は禁止すべきです。(抜粋)

引用:http://dl.med.or.jp/dl-med/doctor/ssi/sports25/sports25_k8.pdf

 

これを受けて、全日本軟式野球連盟は以下のような取り決めをしています。

投手の投球制限については、肘・肩の障害防止を考慮し、1日7イニングまでとする。ただし、特別延長戦の直前のイニング を投げ切った投手に限り、1日最大9イニングまで投げることができる。
なお、学童部3年生以下にあっては、1日5イニングまでとする。投球イニングに端数が生じたときの取り扱いについては、3分の1回(アウト1つ)未満の場合であっても、1イニング投球したものとして数える。

引用:医科学 | 公益財団法人 全日本軟式野球連盟

 

自分は小中高と野球をやってきましたが、ピッチャーをほとんどやっていなくても肩に多少の違和感があります。おそらくピッチャーをしている人で肩や肘に不安を抱えていない人はいないと思います。

 

フラッグの投球制限?

そういった状況を考えると、フラッグフットボールにおいてQBの投球数というのはあまり意識されないような気がします。

 

例えば、10人のレシーバーに5つのコースを2周ずつパスを投げればもう100球です。高校生の1日の上限が99球ですが、大半のフラッグプレーヤーが高校球児以上のフィジカルを持っているとは思えないので、この時点で投げすぎな可能性はあります。

 

とはいえ、野球の基準はマウンドからキャッチャーまでの18.44mを全力投球するのを前提としているので単純比較はできません。

 

では、野球のピッチャー1球とフラッグのパス1球、どちらが肩や肘に負担がかかるのでしょうか。

 

ちょっと調べてみましたが、そういった資料は見つかりませんでした。

 

読めませんが、アメフトのスローイングについての論文ならありました。

クォーターバックのスローイング動作観察

 

野球をしている人が負担の少ないフォームを習得するためにアメフトのボールを使って練習するケースは多いみたいです。楕円形の練習用ボールもあります。

楽しみながら練習する−これなら親子でもトレーニング可能

 

アメフトのフォームが理想的?

少年野球で投球制限が設けられているのは、単純に投げすぎることで肩や肘が消耗してしまうからではありません。消耗することよりも、疲れた状態で投げることで肩や肘に負担が掛かるフォームで投げてしまうことを回避しています。

 

変化球を禁止しているのも同じような狙いです。

 

変化球を投げることよりも、変化球を投げようとして誤ったフォームで投げてしまうことを避けています。

 

野球のボールは小さくて軽いのでテキトーに投げても多少無理が利くところがあります。なので、肩の開きが早かったり、肘が下がったり、フィニッシュが不完全だったりしても多少は投げられてしまいます。

 

一方で、フラッグの場合、野球のボールよりも大きく重いボールを使用するので、あまり無茶が利きません。しっかりとしたフォームでなければボールはスパイラル回転して飛んでいきません。

 

そういった点を考慮して、野球に比べてデリケートに扱っていないのではないかと推測します。

 

それでも投球制限は必要

フラッグのほうが野球に比べて負担が少ないスローイングになるとは言っても、腕のスイング運動をしている以上、肩と肘の消耗は避けられないので、小中学生の指導者は細心の注意が必要だと思います。

 

年々肘の位置が下がっているリバースのフォームを見るたびに「背筋、化け物かよ」って言いたくなります。絶対、肘肩に悪いです。

http://offtherecordsports.com/wp-content/uploads/2014/12/PhilipRivers.jpg

引用:Chargers' Rivers could need offseason back surgery | Off the Record (OTR)

 

下記の記事でも「The issue: throwing motion.」って書かれています。カラダの中心からボールまでの距離が遠いとそれだけ投げるための力が必要となるので負担がかかってしまいます。

http://cdn.bleacherreport.net/images_root/article/media_slots/photos/000/607/150/BradyRiversArm_original.png?1352497818

引用:Analysis of Philip Rivers, Matthew Stafford & NFL's Most Mechanically-Flawed QBs | Bleacher Report

 

この記事でも「QB道場」の話として言及されています。

ameblo.jp

 

野球よりはテキトーには投げられないにしても、よくない投げ方をしたときの肩や肘への負担は野球よりも大きいです。

 

とするならば、プラスマイナスで、野球と同程度の基準をフラッグでも設けたほうがいいのではないかと思います。ルールというよりも指導者の意識として、です。

 

大人の場合は、自分で気をつけるのはもちろん、チームメイトも100球を越えないようにメニューを作成するなどの配慮が必要ではないかと思います。

 

ということで、フラッグのQBの投球制限についてでした。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)