Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は、フラッグフットボールの課題と言われているルール統一やリーグ統一について個人的な見解を書いていきたいと思います。
引用:お知らせ・募集中のプログラム | 富士通スタジアム川崎(旧:川崎球場)
混在するフラッグフットボールに関する団体
フラッグフットボールの大会を主催する団体は大きく3つあります。
日本フラッグフットボール協会
日本フラッグフットボール協会(JFFO)はNFL FLAG大会を開催しています。試合は小学生から大人まであり、全国で地区大会があり勝ち進めば日本大会まであります。ルールについては「JFFO公式規則」と「NFL FLAG大会規則」があります。
前者は小学校や中学校の体育授業でのプレーを前提とした普及用のルールとなっており、公募の大会はNFL FLAG大会であり、NFL FLAG大会規則が適用されます。
日本タッチアンドフラッグフットボール協会
日本タッチアンドフラッグフットボール協会(JFTA)はメインはタッチフットボールの大会を開いていますが、年3回フラッグフットボールの大会も開いています。試合は高校生以上で、フィールドは常に女性が2人以上いなければいけないルールになっています。
http://footballjapan.org/index.html
ルールは、ホームページ上に「フラッグフットボールジャパン公認 5人制フラッグフットボール公式競技規則」が載っていますが、大会要綱には「FJ公認競技規則(『フラッグフットボール入門』タッチダウン社発行に掲載)を適用します。」と書いてあります。
過去に大会エントリーにあたってこの2者について相違があるかメールで確認したところ、「ルールはご自身でご確認ください」との返信をいただき失望した覚えがあります。ルールを知るためには本を買わなくてはいけないようです。
Fリーグ
http://kantoh-ffl.sakura.ne.jp/index.html
Fリーグとは関東のフラッグフットボールリーグのことで、参加チームの自主運営で試合が行われています。2015年シーズンでは、1部は6チーム、2部は10チームによるリーグ戦が行われ、1部と2部の入れ替え戦も実施されています。
ルールは「IFAF 国際フラッグフットボール公式規則」が適用されています。世界大会も同じルールのもと行われます。シニアカテゴリ(高校生以上の男女)とレディーズカテゴリ(中学生以上の女性のみ)があります。
あと、ハドルボウルがありますが、ルールはNFL FLAG大会規則なので、ここでは割愛します。
それぞれのルールの印象
上記の3つの団体が開催している大会はすべて異なるルールのもとに行われています。
自分はJFFOが開催しているNFL FLAG大会に出ることが圧倒的に多いですが、JTFAの大会にもFリーグの大会にも出たことがあります。
その上で印象を書くとするならば、以下の通りです。
JFFO
比較的大雑把なルールで、最初にやるならわかりやすく出来ている印象。ただ、複雑なことが起きたときにどう解釈していいのかわからないことがある。
JTFA
必ず女性がフィールドにいなければいけないルールなので、比較的安全面を考慮してある印象(実際に効果があるのかは不明)。専門用語が頻出するのでおそらくはじめてプレーする人にはさっぱりだと思われる。
Fリーグ
一番アメフトっぽさを残しているルールで、特にラスト2ミニッツからの正式計時はタイムマネジメントもできるので作戦的に広がりがある。アメフトを知らない人にとってみれば覚えるのになかなか苦労しそう。
ルール統一は可能か
それぞれのルールには一長一短があり、それぞれの思想や思いをもとに作られている、あるいは採用されているように思います。
ですので、それを無理矢理に統一しようとすれば齟齬が生まれる可能性があります。
例えば、Fリーグが採用している「IFAF 国際フラッグフットボール公式規則」をNFL FLAG大会にも採用すれば、NFL FLAG大会が一番大切にしている普及に影響が出ます。NFL FLAG大会規則の簡単なルールでもなかなか浸透できていない現状があるのに、さらに難しいルールを適用してしまうと参入障壁が高くなってしまうように感じています。
逆にFリーグがNFL FLAG大会規則を適用すれば、世界大会などのルールとのズレが生じてしまうので、競技性の高さや世界大会との一貫性といったリーグのコンセプトから離れてしまいます。
妥協的な統一ルールを作るとしても、NFL FLAG大会は普及力が削がれ、Fリーグは世界大会との一貫性を失うことになるので、両者にメリットがありません。
JFTAについても志向性が異なるので、同様です。
ルール統一にメリットがあるのか
正直、ルールを統一することにメリットはそこまでないと思っています。
なぜならそれぞれの大会のターゲットが違うからです。初心者やたまにプレーしたいというチームはNFL FLAG大会に、毎週本格的にプレーしたいというチームはFリーグに、男女ミックスでプレーしたいというチームはJFTAに出場すればいいだけだと思っています。
乱暴な表現ですが、どれもこれも出る、というよりはそれぞれのチームやプレーヤーにあった大会に参戦すればいいだけではないでしょうか。
それだとプレー機会が少なすぎるのでは、という意見もあると思うのですが、それはそれぞれの大会が解決していくのがベストだと思っています。なぜならプレー機会を求めてチームの志向性の異なる大会に出たとしてもミスマッチが起きるだけだからです。
理想を言うのであれば、大きなベースとなるルールがあって、それぞれの大会でそれに加えてローカルルールを適用していく、というのが一番いいのですが難しいのが現状です。
もっとアメフトが人気が出て一般的になれば、アメフトのルールも普及されるので、NFL FLAG大会規則をIFAF 国際フラッグフットボール公式規則に寄せていくことは可能だとは思いますが、それも難しいでしょう。
重要なのは、窓口の一元化
ルールの統一よりも重要なことは、各大会の情報がどこにあるのかよくわからなかったり、運営の仕方がそれぞれ独自であるという点だと考えています。
例えば、すべての大会が1つの団体によって開催されていれば情報の発信源は1つであり、参加するチームは情報が得られやすくなります。また、エントリーやメンバー登録なども似たようなやり方で行われることになるので、対応しやすいです。
しかし、現状ではそれぞれの大会がそれぞれで独自のチャンネルで発信していて、独自の運営方法でやっているので、めんどくさいことになっています。それぞれが部分最適化されていってることで、全体として統一性がなくなってしまっています。
参戦すべき大会を間違えないように、ミスマッチがないようにするために、窓口は一元化されていたほうがいいと思っています。
とは言いつつも、、、
大会を運営している自分からすると、そうやって大きなものなかの一つとして動くことになると、調整にかなりのエネルギーを要してしまうのではないか、という不安があります。
フラッグフットボールはそもそもがプレーしている人が少ないので、大会を運営してくれるような人はかなり少ないです。それを考えると、それぞれがそれぞれのやり方で運営に負担を掛けずにやって、継続的に行われること重視したほうがいいと思います。
そうなると、窓口の一元化については実現が難しいですが、このブログがもっと成長していってプラットフォーム化していけば、各大会の告知の載せたりして、情報だけは一元化できるのではないかと考えています。
余談
全然関係ない話ですが、試合中にルールであれこれ言う人ってちゃんと大会規則読んでいるんですかね。結構前ですが、NFL FLAG大会でFリーグにも参戦しているチームに「アメフト知ってんのか!!」って罵られたことがあるんですが、言い分が全くの謎でした。
そんなルールがあった気がするとか、どこかで誰かが言ってた気がするとか、そういうもんだと思ってたとか、その程度で審判にクレーム言う人、ダサすぎます。
審判に物言うなら、大会規則を参照して、「こう書いてありますけど、なぜこうなったんですか?」となるのが当然です。お互いの記憶で言い合うのは不毛です。
「ルールがいくつもあってわかりにくい」って言う人いますが、そういう人はそもそもルールブックを読むことなく、単なる見聞きだけで把握している気になっているんじゃないかな、と個人的には思っています。
試合会場に着く電車のなかでルールブックを一読しておく。たったそれだけでいろいろ変わります。
ということで、フラッグフットボールの課題と言われているルールやリーグの統一についてでした。