Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は、 11 /29から公開になる映画「コンカッション」について書きたいと思います。
引用:http://www.in-movies.com/blog/concussion
映画 「コンカッション」
映画の基本情報はこんな感じです。
ウィル・スミスが引退したアメリカンフットボール選手の死とアメフトの因果関係を発見する実在の医師を演じ、第73回ゴールデングローブ賞で最優秀主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされた作品。ナイジェリアからやってきた医師ベネット・オマルは、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)を引退し、心筋梗塞で亡くなったマイク・ウェブスターの変死解剖に携わる。オマルはプレイ中の頭部への激しいタックルが原因である脳の病気「CTE(慢性外傷性脳症)」を発見し、論文を発表するが、NFLサイドはオマルの見解を全面否定。権力を使い、オマルと彼の周囲に圧力をかけていく。ウィル・スミスが主人公オマル医師を演じ、アレック・ボールドウィン、アルバート・ブルックスらが脇を固める。監督は「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」のピーター・ランデスマン。「オデッセイ」「ブレードランナー」のリドリー・スコットが製作。
引用:http://eiga.com/movie/83790/
予告編
主演:Will Smith
ウィル・スミスといえば、「メン・イン・ブラック」のようなコミカルな役が印象的ですが、今回はそういった部分は見せず、意志の強いナイジェリア出身の監察医を演じています。
引用:http://www.in-movies.com/blog/concussion
監督:Peter Landesman
監督はピーター・ランデスマン。長年ジャーナリストとして活動してきており、今作は「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」に続く監督2作目です。
NFLの脳震盪問題
この映画で中心になってくるのが、NFLの脳震盪問題についてです。
2016年の開幕戦でキャム・ニュートンが強烈なタックルを受けて退場したように毎週のように脳震盪が発生しています。
衝突の多いフットボールで脳震盪が起きるのはある意味当然の話で、どこまでフットボールの魅力を失うことなく選手の安全を守れるか、というのは今日のNFLの大きな問題になっています。
NFLの多くのレジェンドプレーヤーも息子にはフットボールをさせたくないと答えています。
10/29から公開
映画「コンカッション」は10月29日から公開されています。
公開される劇場は少なく、していたとしても上映会が限られてしまうためなかなか見るのが難しいかもしれません。
普段、我々はNFLに大いに楽しませてもらってもらっていますが、その影ではどんな闇があるのか、どんな犠牲が払われているのか、この映画を観て一度考えたほうがいいのかもしれません。
オススメです。
ここからネタバレ注意!
自分は日本公開版はまだ観ておらず、英語版と小説版を観ました。
ネタバレといっても結末はよく知られているところなので、あまり気にする必要はないかもしれません。
結局NFLは和解をして脳疾患を抱える選手に補償をすることを決めました。
NFLでプレーするすべての選手にその可能性があるとすれば、NFLはかなりの補償金額を支払わなければいけないことになり、当初因果関係を認めなかったのもそのためだと思われます。
ですが、一度認めたからにはその大きな力でどう対処していくのかを考えていって欲しいところです。
というのも、これはNFLだけではなく、すべてのフットボールプレーヤーの問題でもあるからです。NFLで起きた脳震盪やその後の脳への異変については補償してもらえるかもしれませんが、例えば、NFL入りを目指して高校大学と激しいプレーをしてきたにも関わらず脳の異変によってNFL入りが叶わなかった選手は誰にどのように補償されるのか、というのは不透明です。
また、これまで脳震盪は一時的な話でありその後は問題がないということになっていましたが、この映画で描かれるように脳に異変を抱えた元選手は奇行を繰り返すことになります。
アルツハイマーのようになったり、躁鬱病のようになったり、その人個人の健康だけではなく、周りの人に影響を与えかねない症状があります。しかも、脳震盪を一度も起こしていなくてもダメージの蓄積で発症することもあります。
NFLプレーヤーが家庭内暴力をふるって逮捕されたという事件をたまに聞きますが、仮にそれが個人の問題ではなく、フットボールによるダメージに起因するものだとしたらNFLとフットボールのあり方が大きく問われることになります。
フットボールの大きな衝突だけではなく、サッカーのヘディングでも脳震盪の可能性があるとして少年サッカーのヘディングを禁止しているところがあるそうです。
こういった危険性を排除していくとスポーツが立ちゆかなくなるのではという不安もありますが、リスクをしっかりと考慮しつつどうスポーツを楽しいものにしていくかというのがこれからの指導者や大会運営者、普及団体の大きな課題になるのではないでしょうか。
スポーツが完全にいいものというわけではなく、スポーツを盛り上げている団体も完全にいいものでもない、ということをこの映画を見て改めて感じました。
NFLのエンターテイメントの部分が存分に描かれている映画「ドラフト・デイ」とあわせて観るのがオススメです。
参考
というわけで映画「コンカッション」についてでした。