Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は、WBCで観客が打球をキャッチして炎上していることに関連して、「スティーブ・バードマン事件」について書きたいと思います。
引用:【WBC】侍・山田、“幻のホームラン” ファンがキャッチ、ビデオ判定の末に適時二塁打に (Full-Count) - Yahoo!ニュース
WBCキューバ戦
3月7日に行われたWBC日本対キューバの一戦で、山田選手の打球をフェンス際で少年がキャッチしてしまい、ホームランになるかどうかという打球が2ベースの判定になってしまいました。
ビデオ判定で、少年がキャッチしていなくてもフェンスは越えていなかったということで2ベースヒットになりましたが、外野手の処理によっては3ベースヒットになる可能性もあっただけに、この試合の序盤の大きなポイントになりました。
報道では「幻のホームラン」という言い方されていますが、ビデオ判定で少年がキャッチしていなくてもフェンスは越えていないという判定なので不適当です。
【追記】
最初記事をアップした時点では打球を打ったのが坂本選手と表記していましたが、山田選手の誤りでした。
SNS上での炎上
試合序盤では接戦だったので、このキャッチが敗因になるのではということで、SNS上ではこの少年を責め立てました。中盤以降に日本チームが点を重ねて勝ったので大事には至りませんでしたが、それでも炎上は止まりませんでした。
キャッチ直後にどや顔で少年が写るツイートを身内がしていたのが火種となり、写真の拡散や名前、住所にいたるまで特定されてしまいました。Twitterで「クソガキ」がトレンド入りするほどの加熱しました。
そんなに今回のWBCって注目集めていたか?という疑問もあります。きっと「叩いていい対象」を見つけたからおもしろがってやっているだけだと思います。これが相手チームの打球だったらどうだったのか、というのは少し興味があります。「よくやった少年!」となるのか、それでも「邪魔するなクソガキ!」となるのか。
スティーブ・バードマン事件
今回のキャッチで思い出したのが「スティーブ・バートマン事件」です。
「スティーブ・バートマン事件」とは、同じく観客が打球をキャッチしようとしたことで試合の結果を大きく左右させてしまった出来事です。
詳しくはWikipediaを参照して欲しいのですが、ざっくり言うと、2003年、カブスはあとアウト5個取ればワールドシリーズ(日本でいうところの日本シリーズ、アメフトでいうところのスーパーボウル)進出だったはずが、観客の邪魔によってファウルフライが捕球できず、その後逆転されてしまうという出来事です。
カブスは有名な「ヤギの呪い」によって1908年以来ワールドシリーズ制覇から遠ざかっており、ワールドシリーズ進出となれば58年ぶりということで格段に注目度が高かったため、邪魔してしまった当人スティーブ・バードマンはかなり批判されてしまいます。
一般人からの罵声だけではなく、テレビで何度も顔が映され、ネットでは名前が特定され、新聞には家が掲載されてしまいました。
どういう態度であるべきか
スティーブ・バートマン事件はそこまでレアケースではなく、観客が捕球の邪魔をしたケースは多々あります。
日本のプロ野球では、2016年7月23日にソフトバンクホークスの内川選手がカメラマン席上空に飛んだファウルフライを捕ろうとしたが、報道スタッフに邪魔される、ということがありました。邪魔してしまった当人はキャッチはおろかカメラをバインダーで守ろうとした結果でした。
内川選手は激怒し、試合後には「1つのアウトをとるために毎日どれだけ時間をかけているか、理解してほしい」というコメントを残しました。
今回のキャッチも、スティーブ・バートマン事件も、この報道スタッフも邪魔する意図はなかったのにいろいろと言われてしまう結果になってしまいました。(内川選手の場合は、報道スタッフよりも上記コメントに批判集まりましたが)。
単なる邪魔したという事実以上に、わざわざ批判が集まるようなツイートしてしまったことや、マスコミが批判を助長するような報道がなされたことが事態を大きくする原因になったのは間違いないです。
こういったときに、どういう態度であるべきか、ということで、スティーブ・バートマン事件のあとにカブスが発表したコメントを引用します。
シカゴ・カブスは本年のファンの皆様によるこれ以上ないほどの応援に礼を述べたいと思います。感謝の気持ちで一杯です。それと共に、私たちは皆様に試合はフィールドの上での出来事によって決まるのだと言うことを心に留めて頂きたいと思っています。決して、観客席での出来事によってではありません。ある1人のファンが、第6戦で起こったことに責任を持つと見なすのは不正確であり、不公平なことです。彼は球場に来ている全てのファンがしようとすること―ファールボールをキャッチすること―をしただけです。それは野球を特別なスポーツにしていることの1つです。今シーズンはとてもエキサイティングな年でした。リグレー・フィールドで10月に更に長く試合ができることを楽しみにしています。
山田選手の打球をベンチから見ていた内川選手は今回についてはどう思うのか知りたいところです。
【追記】
後日、山田選手から少年に向けてコメントを出したよう報道されましたが、Twitter発信のデマらしいです。
個人的には、邪魔されるのが嫌なら高いフェンスのなかでやるか、誰もいないスタジアムでプレーしろよ、って思ってます。言葉は悪いですが、邪魔するアホは一定数いるし、そういう人はルールやマナーでは縛れない、と思っています。
あと、邪魔した人の個人情報を晒して叩くのを、やりすぎと批判するときに、その個人情報が載ってるツイートを紹介しているブログがありました。なにやってんだか、という感じです。
芸能人の差別的な発言を批判するために、マスコミがその発言をそのまま報道拡散させて、傷つける人を増やしてしまう構図と似ている気がします。
全くまとまっていませんが、最後に、いつぞやのGG佐藤のように誰かに批判が集中して人生が狂ってしまうことがないことだけを願っています。
そもそも日本が勝っても負けても選手以上には自分たちの人生は左右されないので。
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ということで、スティーブ・バードマン事件についてでした。