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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

フラッグフットボールのプレーブックはなぜ作っておくべきなのか

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

今回はフラッグフットボールのプレーブックについて書いていきたいと思います。

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アメフトとフラッグのプレーブックの意味の違い

アメリカンフットボールでは事前に相手チームの作戦を想定し、それにあった作戦ができるようにプレーブックを作成していきます。それらは一人ひとりの動きが細かく記されており、相手の出方次第ではオーディブルやオプションを使うなどといったことも決められています。

 

そのプレーブックは基本的にはプレーヤー各自に渡されて事前に覚えて、練習や試合ではプレーブックは見ずにプレー名だけハドルで伝えられ実行します。NFLではチーム支給のタブレットにプレーブックが送られて、日々アップデートしていくプレーを覚えていくみたいです。

 

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 引用:第36話 久保田 薫 アメフト マンダラ 其の2(6)|久保田薫コラム|株式会社キュービィクラブ

 

 

一方、フラッグフットボールではアメフトと同じような使い方をしているチームもあるかもしれませんが、大半のチームはそれぞれの動きが書かれている紙を用意して、それを見せながらハドルで指示を出します。アメフトのように覚えてプレー名だけ伝えるチームもあるかもしれませんが、基本的には毎回オフェンスプレーヤーに見せるので記憶しておく必要がなく、極端な話、はじめてのプレーでも絵にされて見ればだいたい実行することができます。

 

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上の写真は4コマノートに考えたプレーを書き留めたものです。

 

 

実際に試合で使うものはこれをエクセルで下のように清書しています。

 

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実際に試合で使った完全版は下記のリンクより100円でご購入できますので、興味がある人はどうぞ。

 

 

 

アメリカンフットボールとフラッグフットボールのプレーブックは使い方が異なります。なので、その意味にも違いがでてきます。アメフトの場合は戦術的な準備のものですが、フラッグフットボールの場合には試合中のその場の意思疎通ためという意味合いが大きくなります。

 

フラッグフットボールでも意思疎通さえハドルのなかでちゃんとできればプレーブックとして紙にすることなく、レシーバーそれぞれにコースを口頭で伝えれば十分だともいえます。

 

プレーブックは準備してきたほうがいい

その場でパスコースを伝えることができればそれでいいかもしれませんが、それでも自分はプレーブックを準備してきたほうがいいと考えています。その理由についていくつか書いていきます。

 

焦った時に選ぶだけでいい

試合終盤で疲れているときや、劣勢で心理的に焦っているときに、口頭でプレーを伝えようとしてもなかなか頭が回りません。ブレーを考える時間に加えて、それぞれのレシーバーに伝える時間も必要になってきます。

 

そういった状況になると、ついテキトーなプレーを出してしまったり、意思疎通ができなかったりして、痛恨のインターセプトを食らってしまいかねません。

 

プレーブックを用意しておければ伝える時間は1秒ぐらいで済みます。ここで短縮できた分をプレー選択の時間に充てることができます。また、その場でゼロからプレーを作るよりも、プレーブックに書いてあるものから選ぶほうが圧倒的に楽です。

 

その場でプレーを作ってその場で伝える方がそのQBのプレーのクセが出やすいので、考えて出さないのであれば事前に練って作ってあるプレーブックのプレーを選んだ方がマシです。

 

あらかじめQBが考えて作ってきたプレーを自分で覚えておいて、頭の中で瞬時に選んで出すというやり方もなくはないですが、相当難しいと思いますし、紙にしておかないメリットはほぼないように思います。

 

準備がたくさんできる

同じような意味かもしれませんが、事前にプレーブックを用意しておけばプレーを考える時間は無限です。対戦相手の情報があまりなかったとしても、フラッグフットボールで相手がやってくるディフェンスには限りがあるのである程度想定することができます。

 

とりあえず、マンツーマン、1-3ZONE、2-2ZONE、1-3ZONE、ノーブリッツの2-3ZONE、あとはトライフォーポイントのバリエーションぐらいを想定しておけばだいたいに対応することができます。

 

 

口頭で臨機応変にやっていきたいという場面もあるかもしれませんが、ある程度想定した上でプレー作っておけばそれを少しアレンジしただけで十分間に合います。

 

これはあくまで自分の感覚ですが、事前に何時間もかけて作ったプレーと5秒ほどで考えたプレー、どちらが信頼できるかといえば、圧倒的前者です。同じ負けるのであれば、事前準備をせずにその場でプレーを考えて負けた方が嫌です。だったらハズレなプレーばかりでも事前に作ってきたプレーで勝負したいです。

 

将棋の話になりますが2016年の電王戦で、山崎叡王(当時)がコンピュータと戦うときに、事前準備でいろいろやってきたにも関わらず、その研究手順とは違った手を指すことを選び、負けてしまいました。そのときに山崎叡王は振り返って「自分を信じることができなかった」と述べています。

 

ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか (一般書)

ドキュメント電王戦: その時、人は何を考えたのか (一般書)

 

 

事前に用意したプレーブックで戦うことは同じように「自分を信じる」ことなのかもしれません。事前研究した過去の自分を信じるか、その日そのときの自分の発想やひらめきを信じるか、というのは人それぞれかも知れませんが、自分は後者です。

 

どんな状況であれ、試合中の自分は冷静ではなく、100%のポテンシャルで考えることはできないと思っているからです。

 

レシーバーが全体像を把握できる

ここまでプレーを選択する側のQBの視点で理由を挙げてきましたが、今度はレシーバー側の視点です。

 

レシーバーとしてもQBと意思疎通するためにはプレーブックがあったほうが楽です。見ればだいたいが把握できます。口頭で言われてもよく聞き取れなかったり、聞き間違いが起きたり、ニュアンスが伝わりきらなかったりします。そういった意味で指示されるプレーは一緒だとしてもプレーブックはあったほうがいいです。

 

また、口頭で何より困るのがレシーバーが全体像を把握することができないことです。

 

口頭でプレーを伝える場合、一人ひとり順番にパスコースを伝えていくことになります。QBのなかにはプレーの全体像が頭のなかにできあがって伝えているかも知れませんが、レシーバーはそのときにはじめて聞いて自分の動きを把握しなければいけません。

 

ハドルに余裕があるときは大丈夫かもしれませんが、疲れてくると自分の動きだけにしか意識が向かなくなってしまいます。そうなってしまうと作戦の全体像をレシーバーが把握せずにプレーすることになるので、ディフェンスの動きに対応できなかったり、他のレシーバーとのコンビネーションがうまくできなかったりします。

 

一番困るのが、QB以外がパスを投げるときです。

 

下のプレーでは右外のレシーバーがパスを受けてから、フォワードパスを投げる作戦です。

 

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このときに、右外のレシーバーは他の3人のレシーバーのコースを言ってから自分が投げることを伝えられても、それまでのパスコースを自分が投げるつもりで聞いていない可能性があります。

 

最初に自分が投げることを伝えられれば、そのつもりでそれ以外のレシーバーのパスコースを聞いていくことができます。そのへんはQBの伝え方のテクニックの問題なのかもしれませんが、これもプレーブックがあれば一発で伝わります。

 

レシーバーがオフェンス全員の動きをなんとなくでも把握することができていれば、ディフェンスの守り方によって走るコースを自分の判断でアレンジすることができます。

 

QBがプレーブックを作らなくてはいけないのか

小学生や中学生ではプレーブックはコーチが作成して、試合中のプレーコールもコーチが出すときがあると思います。大人のチームでももしかしたら誰か作戦面で長けている人がプレーブックを作って、別の人がQBを担うというやり方をしているところもあるかもしれません。

 

NFLでも基本的にはサイドラインやスタジアムの上から俯瞰しているオフェンスコーディネーター(OC)やヘッドコーチ(HC)がプレーコールを行っています。

 

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引用:5 Candidates to Replace New England Patriots Head Coach Bill Belichick

 

自分はいままで他の人がプレーコールを出す中でQBをした経験はほぼないので、どのような感じになるのかいまいちイメージできません。プレー選択のフィーリングさえ合えば、サイドラインのメンバーがプレーコールを出してくれたほうが楽なんじゃないかと思っています。

 

プレーを考える負担が減るので、サイドラインから指示されたプレーを咀嚼してパスを投げることだけに専念できます。

 

ただ、プレー選択のフィーリングが合う、というのが高いハードルになるのは間違いないです。

 

例えば、好きなパスコースや苦手なパスコースがあったり、コツコツ攻めてきたいのか大味にどんどんいきたいのかという好みがあったり、それぞれのレシーバーの特徴の捉え方の違いがあったり、とQBによっていろんなフィーリングがあります。

 

このフィーリングがぴったり合うということはほぼありえないので、主従関係なり信頼関係のなかで落とし込んでいくしかないように思います。このへんのプロセスは自分はやったことないのですが、経験の浅い若いQBを据えているチームはビデオなどをもとに試合ごとにチームでプラッシュアップしていくのがいいのではないかと思います。

 

パクりでいい

NFL FLAG南関東大会では多くの試合の動画は公開されています。

 

 

まずは普及目的というのもあるのですが、なかなか作戦を考えるのが難しい人は試合を見て参考にして欲しいというのもあります。

 

せっかく強いチームが手の内を見せてくれているので、レシーバーそれぞれがどんな動きをしているのかを紙に興してそのまま自分たちのチームでやってしまえばいいと思います。パクり、パクられで技術やレベルは向上していくと思っています。

 

 

「TTP」とは「徹底的にパクる」の略です。

 

一流の人は上手にパクる――仕事のアイデアがわいてくる大人のカンニング

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最後脱線しましたが、今回は自分が一緒にさせてもらっているチームのQBがなかなか自分でプレーブックを作ってきてくれないので書いてみました。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)