Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は第51回スーパーボウルをこれから初心者の方に向けて、注目ポイントを紹介しようと思います。結果のネタバレはありません。
引用:SUPER BOWL 51 PREDICTION VIDEO - YouTube
最初に
冒頭にネタバレはないと書きましたが、試合を踏まえた上で注目ポイントを挙げているので、多少は何が起こるかはわかってしまう場合があります。
「フィールドゴールといって蹴ってポールとポールの間を通すと3点入ります」と書けばフィールドゴールがあったんだなとわかるわけですが、その程度のネタバレはご容赦いただきたいと思います。
観ながら「なんだか盛り上がってるけど何が起きているのかわからない」という状況がもったいないと思うので、あらかじめ予習しておくと初心者の方でも楽しめるのではないかなと思った次第です。
英語が読める人はこちらもどうぞ。
最強の矛と最強の楯の対決
アトランタ・ファルコンズはNFLで最も得点力が高いオフェンスを擁しています。QBであるマット・ライアン#2がエースWRフリオ・ジョーンズ#11を中心にいろんなレシーバーに安定したパスを投げ分けます。また、RBデボンタ・フリーマンを中心としたランプレーも非常に強力です。
一方、ニューイングランド・ペイトリオッツのディフェンス陣はNFLで平均失点が最も低く、安定した力を持っています。前回出場したスーパーボウルでは絶体絶命の状況をインターセプトで切り抜けて勝ちきるという離れ業をやっています。また、絶対的なエースQBトム・ブレイディは現役QBでもトップといっても過言ではないくらいのオフェンス能力を持っています。
そういった意味で、今回のスーパーボウルの対戦は「最強の矛vs最強の楯」の対決と言えるかもしれません。
ただ、ファルコンズはスーパーボウルに出るのは久しぶり、しかも勝ったことはないチームですが、ペイトリオッツはスーパーボウル常連チームで何度も優勝をしています。そういった意味で、「勢いのファルコンズ」vs「勝ち方を知っているペイトリオッツ」という見方もできます。
歴史的なスーパープレー
NFLは毎プレー毎プレーが超絶フィジカルと超絶テクニックの応酬なので、すべてのプレーはスーパープレーなんですが、そのなかでもスーパーボウルという何億人もが注目している試合で奇跡的なプレーをすれば何年何十年経っても語り継がれることになります。
過去のスーパーボウルでは「ヘルメットキャッチ」と呼ばれるスーパーキャッチがあったり、「The Drive」と言われる奇跡的な逆転劇もありました。
昨年の第50回スーパーボウルでも最後のインターセプトばかり注目されていますが、あの直前にもスーパーキャッチが生まれています。
勝ち負けはもちろんなんですが、どこでそんな語り継がれるようなスーパープレーが飛び出すのか注目して欲しいです。
ポゼッション差の意味
アメフトでは点差を「ポゼッション」という言葉で表現することがあります。サッカーでのポゼッションと単語は一緒ですが、ここでは「攻撃権」ぐらいに略するのがいいかもしれません。
タッチダウンすれば6点、そのあとのエクストラポイントをキックで決めれば1点、通常プレーを選択して成功すれば2点入ります。フィールドゴールといって蹴ってポールとポールの間を通すと3点入ります。基本的には相手に攻撃権が移るので、1回の攻撃権で最大8点獲得することができます。
なので、1~8点差の場合には1回の攻撃権で同点にできる点差なので「ワンポゼッション差」といいます。20点差であれば、どうやっても3回の攻撃権が必要なので「スリーポゼッション差」と表現されます。
残り時間にもよりますが、スリーポゼッション差がつくとかなり追いつくのは難しくなります。というのも、3回の攻撃権が必要といってもすべてタッチダウンまでいかなければいけない上に、ディフェンスはフィールドゴール1回さえも許されない状況になってしまいます。
攻撃権の問題もありますが、アメフトではリードすれば時間を使いながら攻撃を進めることで相手の反撃の時間を減らしていくという作戦があるので、スリーポゼッション差がついてしまうとはっきり言って絶望的です。
観ながら、いまは何ポゼッション差なのかを意識して観るとおもしろさが増すと思います。
エクストラポイントと2ポイントコンバージョン
前述したエクストラポイントはタッチダウンを決めた後に行われます。キックであれば1点、通常プレーであれば2点とありますが、これは攻撃開始地点が異なります。
1点のキックであれば15ヤード地点から行います。これにエンドゾーンの10ヤードとロングスナップの8ヤードを合わせて33ヤードのキックをすることになります。実はこれは数年前にルール改変の結果で、以前は2ヤード地点からのキックで成功率が99%を越えていました。これが15ヤード地点になったことで、成功率は95%まで落ちました。
通常プレーを選択した場合は以前と同じ2ヤード地点から行われます。これを「2ポイントコンバージョン」と言います。たった2ヤードですが、ディフェンスが全力で止めにくるので成功率は48%程度になります。1点のキックが遠くなって成功率が下がった分、この2ポイントコンバージョンが以前より多く行われるようになっています。
この「95%で1点」か「48%で2点」の選択とその成否が試合展開にどのような影響を与えるのか注目して欲しいです。
オンサイドキック
ポゼッションのところで「基本的には相手に攻撃権が移る」と書きましたが、2回連続で攻撃する方法が1つだけあります。それが「オンサイドキック」です。
得点が決まるとキックオフといって、得点を決めたチームが相手陣内へ蹴り込みます。通常はそれを相手チームがキャッチしてタックルを食らったところから相手の攻撃権が移ります。
しかし、このキックオフをちょこんと蹴って味方チームがキャッチするともう1回攻撃権を得ることができます。それが「オンサイドキック」です。
ただ、単にちょこんと蹴ればいいというわけではなく、蹴ったところから10ヤード以上離れたところでしか味方チームはキャッチできません。10ヤード以内で相手チームよりも先にボールに触れてしまうと反則になってしまいます。
なので、ある程度山なりで蹴って、10ヤード離れたところで相手チームが触れた瞬間にみんなでタックルしてボールを落とさせてそれを確保するというのがオンサイドキックの定石です。
最後のプレーは10ヤード以内ですが、相手チームがさきにボールに触れているので味方チームが確保することができます。
オンサイドキックが決まれば、タッチダウンを決めて続けて攻撃権を得ることができるので2ポゼッション差を一気に縮めることが可能です。過去のスーパーボウルでは、後半1発目でオンサイドキックを成功させて、一気に流れを引き寄せてそのままスーパーボウル制覇ということもありました。
どこでオンサイドキックが登場するのか、ポゼッション差を考えつつ注目するとおもしろいと思います。
トム・ブレイディの弱点
注目選手のときにも書きましたが、ペイトリオッツの絶対的なエースQBであるトム・ブレイディはプレーの正確さ、勝負強さ、リーダーシップ、そしてイケメンというすべてを持っている男なのですがひとつだけ弱点があります。
それは、タックルやブロックが下手くそ、ということです。
QBは基本的にパスを投げたり、ボールを手渡しする役割なのでタックルやブロックをすることはありません。ただ、ごくたまにする機会があります。
なんでも完璧なブレイディが下手くそなタックルをするシーンは笑える一方、不格好でも下手くそでも必死にプレーする姿勢は非常に好感が持てます。そんなブレイディがどこで登場するのか、果たしてタックルorブロックは成功するのか、注目して欲しいです。
ということで、スーパーボウルの注目ポイントでした。