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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

第51回スーパーボウルのレビューと注目ポイントの答え合わせ

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

今回は第51回スーパーボウルのレビューと事前に予想したものの答え合わせをしたいと思います。

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引用:Patriots-Falcons Will Be Super Bowl 51 Matchup | The MMQB with Peter King

 

事前予想

個人的な予想は、34-30でファルコンズの勝利というものでした。注目選手については、QBブレイディ、WRエデルマン、CBバトラー、Kゴストコウスキー、QBライアン、WRジョーンズ、DEフリーニーを挙げました。

 

 

前半でファルコンズがリードして、後半ペイトリオッツが猛攻し、2ポイントコンバージョンを決めて34-31からのオンサイドキック、みたいな展開になればおもしろい、ということも書きました。

 

そして、試合を観た後の注目ポイントとしては、「最強オフェンスvs最強ディフェンス」、「歴史的なスーパープレー」「ポゼッションの差」「エクストラポイントと2ポイントコンバージョン」「オンサイドキック」「トム・ブレイディの弱点」を挙げていました。

 

 

これらを踏まえつつ、試合のレビューを書いていきたいと思います。

 

 

前半の流れ

ファルコンズがリードの予想があたりました。ファルコンズのディフェンスが健闘し、インターセプトリターンタッチダウンを決めるなど圧倒的に優位にゲームを進めました。

 

 

WRフリオ・ジョーンズに注目が集まっていましたが、RBデボンタ・フリーマンのランが効果的で、前半終わって21-3と18点差がつきました。これは「スリーポゼッション差」でこのままいけばほぼ絶望的な点差です。

 

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引用:Devonta Freeman cuts to end zone for first TD of Super Bowl 51 (Video)

 

しかも、後半のファルコンズはオフェンスからはじまるのでペイトリオッツがさらに不利な状況でした。

 

ファルコンズのタッチダウン

最初のシリーズはパントに終わったものの、続くペイトリオッツの攻撃も抑えます。ペイトリオッツの攻撃の中心であるWRエデルマンやWRホーガンが普段では捕っていそうなパスを落とすなど前半の流れのままの後半スタートでした。

 

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引用:Super Bowl 51: Atlanta Falcons Roster Depth Charter & Players

 

ファルコンズの2回目の攻撃では、WRガブリエル#18が活躍します。エースCBマルコム・バトラー#21を翻弄します。その後、ペイトリオッツの反則もあって順調にオフェンスを進め、3Q残り8:31でRBコールマン#26のタッチダウンが決まります。これで28-3と25点差になりました。

 

 

25点差は2ポイントコンバージョンを3回やっても追いつけない点差なので「フォーポゼッション差」になりました。正直、この時点で試合は決まってしまったように思いました。さすがのペイトリオッツもこの時間帯でフォーポゼッション差というのは終わりに近いです。

 

エデルマンのスペシャルプレー

圧倒的な劣勢になってしまったペイトリオッツは、続く攻撃ではWRエデルマン#11のスペシャルプレーを敢行します。

 

いままではエデルマンがボールも受けたサイド側に投げるプレーが多かったのですが、今回は逆サイドへのパスでした。誰もがそういったスペシャルプレーは予想していたので、それを警戒したのかもしれません。ただ、ボールを受けて逆サイドに投げるというのは元QBでも難しかったと思います。

 

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引用:Julian Edelman, Bill Belichick Celebrate Super Bowl Victory on 'Tonight'

 

ファルコンズCBグッドウィン#29が反応して追っていなければ一気にタッチダウンの可能性もありましたが、よく守ったプレーだと思います。あとは結果論ですが、前半エデルマンがボールを受けて走るというプレーがあまり脅威になっていなかったので、すぐに寄せるのではなく一瞬様子見る余裕があったから追えたようにも思います。

 

事前予想ではペイトリオッツが劣勢のなかスペシャルプレーで一気に流れを引き寄せる展開になると書いていましたが、肝心のスペシャルプレーが失敗に終わったことで、万策尽きた感じがしてしまいました。

 

ただ、このあとフォースダウンギャンブルとブレイディのスクランブルが決まりファーストダウンを更新していきます。戦況とは関係ありませんが、喧嘩していると思いきやヘルメット同士が引っかかってしまい周りに取ってもらうという珍プレーがありました。

 

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引用:See the moment Martellus Bennett and Dwight Freeney’s helmets got stuck together | For The Win

 

 

ペイトリオッツの逆転開始?

スペシャルプレー失敗で流れがファルコンズにいくと思いきや、順調にオフェンスを進め、3Q残り2:08でRBホワイト#28がタッチダウンを決めます。続くエクストラポイントですが、まさかのKゴストコウスキー#3が1ポイントのキックを外してしまいます。

 

注目ポイントに挙げていた成功率95%のキックが失敗してしまいました。その後のキックオフでもオンサイドキックを試みるも10ヤード以内でKゴストコウスキー#3がボールに触れてしまい、失敗となってしまいます。

 

www.youtube.com

 

反撃ムードになりつつも、勢いに乗り切れないという展開は試合を決しかねないポイントでもありました。

 

強気なファルコンズ

この時点で28-9と19点差、スリーポゼッション差になりました。残りは4Qのみの状況を考えればファルコンズは時間を使いつつフィールドゴールを決めていけば問題なく勝てる点差です。

 

にも関わらずファルコンズは強気に攻めます。

 

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引用:http://www.tampabay.com/sports/football/bucs/puppies-gaga-howie-longs-hair-51-factoids-for-super-bowl-li/2312039

 

3Q残り0:52で、敵陣42ヤード地点、3rd&11の状況でファルコンズはパスプレーを選択します。結果的にはQBサックを食らいパントになりましたが、後で思えばファーストダウンは取れなくても敵陣35ヤード地点まで持っていって、52ヤードのフィールドゴールを狙うという選択肢もあったかもしれません。成功率は50%程度なので無理する展開ではないのでパントになるかもしれませんが、無理にファーストダウン取りにいったことでQBサックではなくインターセプト食らう可能性だってあったので、このプレーはなかなかの岐路にだったかもしれません。

 

ついに4Q突入

4Q残り15分となり、ペイトリオッツの攻撃はTEベネット#88へのミドルパスなどで相手エンドゾーン手前まで進みますが、DLジャレット#97に2度もQBサックを食らいタッチダウンは奪えずフィールドゴールを決め、28-12の16点差になりました。ツーポゼッション差です。

 

ツーポゼッション差となれば、インターセプトやファンブルがあれば一気にわからなくなる点差です。

 

痛恨のファンブル

4Q残り8:34、自陣38ヤード地点、3rd&1でまたもはやファルコンズは強気なオフェンスに出ます。普通に考えれば、リードしている場面なのでランプレーで時間を消費させつつファーストダウンを狙えばいいシチュエーションで、ほぼランプレーの含みのないパスプレーをします。しかも、ファーストダウンに必要な1ヤード以上を狙ったパスです。

 

 

ファルコンズのいつもの戦い方を貫こうとしたのか、相手の裏をかこうとしたのかわかりませんが、素人目にはタイムマネジメント、リスクマネジメントができていないコールに見えました。

 

その結果、LBハイタワー#54にタックルを受けたWBマットライアン#2がボールを落とし、それをペイトリオッツが拾い、攻守交代となりました。

 

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引用:Dont’a Hightower’s Perfect Description Of His Super Bowl Strip Sack « CBS Boston

 

ファルコンズRBフリーマン#24が相手のラッシュの数を確認しつつパスコースに出ようとして、ブロックするのをミスってしまったのが原因のように見えました。最初はわざとスルーしたようにも見えたのですが、パスコース出るにしても通常は一度ぶつかっておいてQBに到達するのを遅くしてからパスコースに出るものだと思うのですが、このプレーではちょっとだけ肩ぶつかった程度なので、気付いていなかった可能性が高いと思います。

 

フリーニーのサック

痛恨のファンブルでオフェンスの機会が舞い込んできたペイトリオッツですが、ファルコンズDLフリーニー#93にQBサックを食らいます。ゲーム通して活躍していたわけではないですが、注目選手に挙げていた選手がいいプレーしたのはうれしかったです。

 

ついにワンポゼッション差

フリーニーにサックは食らってしまいましたが、パスが順調に通り4Q残り6:11でWRアメンドラ#80がタッチダウンを決めます。この時点で10点差なので、ペイトリオッツは2ポイントコンバージョンを選択します。

 

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引用:Los Angeles Rams: Former WR Danny Amendola Ties Super Bowl 51 For Patriots

 

成功率は48%程度ですが、9点差だとツーポゼッション差で残り時間を考えると、次にオンサイドキックを決めてもギリギリです。2ポイントコンバージョンにすれば8点差なので、もう一度2ポイントコンバージョンを決めなければいけませんが1回の攻撃で同点に追いつくことができます。

 

そこで飛び出してきたのが、ブレイディのもらうふり作戦です。

 

 

ふつうはランプレーするにしても、QBからRBに手渡しして走るものなのですが、このプレーはQBを経由せずに直接RBにボールをわたして走る作戦でした。実際にはボールを持っていないのに来るはずのボールが高めに逸れたフェイクを入れることで相手ディフェンスを攪乱させて、プレー成功の確率をさらに高めます。

 

そもそもプレーがはじまる前まではRBホワイト#28はフィールドの外側にセットしており、ペイトリオッツの陣形はRBを配置しないエンプティ・フォーメーションでした。これを見たファルコンズがパスの可能性が高いという判断をした結果、ラン止められなかったのかもしれません。

 

伝説のスーパーキャッチ

ついに8点差まで追いついたペイトリオッツは、ファルコンズの攻撃をパントに抑え、迎えた4Q残り2:28、自陣36ヤード、1st&10で伝説的なスーパーキャッチが出ます。

 

 

この試合、落球やスペシャルプレーの失敗などあまり活躍できていなかったWRエデルマンが、相手ディフェンスにはじかれ、さらに足に当たったボールを地面ギリギリでキャッチします。足に当たっていなければボールは地面に落ちていたはずなので、なかなか偶然要素が強いプレーですが、最後まで諦めずに手を出し、目を離さずにボールを追えるのはさすがNFLプレーヤーです。

 

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 引用:WATCH: Julian Edelman Mic’d Up During His Incredible Super Bowl Catch « CBS Boston

 

このキャッチはヘルメットキャッチに続くスーパーボウルの歴史に残るプレーになりました。このあともミドルパスを通したペイトリオッツは一気に流れをものにします。

 

残り1分残して同点に

4Q残り0:57でRBホワイト#28のタッチダウンラン、WRアメンドラ#80の2ポイントコンバージョンを成功させついに同点に追いつきました。

 

 

ペイトリオッツのことなので、2ポイントコンバージョンはこの日のこのときのために用意しておいたプレーでしょう。真似したくなるプレーでした。

 

ニーダウンフェイク

ペイトリオッツがちょっと誤算があるとすれば、同点にするには時間を残してしまったことでしょうか。

 

57秒あればもしかしたらファルコンズに得点される可能性があります。フィールドゴールの3点で充分なので、最後のディフェンスが正念場になります。ただ、完全に会場の雰囲気をものにしたペイトリオッツはパントに抑え、残り3秒を残して攻撃権を得ます。

 

試合時間残り3秒、自陣35ヤード地点、1st&10のシチュエーション。残り3秒なのでワンプレーしかできません。選択肢にあるのは超ロングパスを投げてタッチダウンを狙うのか、それを狙いにいってファンブルやインターセプトリターンタッチダウンされれば一気に負けてしまうのですぐに膝をついてプレーを終了させる「ニーダウン」か、どちらかです。

 

結果、そのどちらでもありませんでした。

 

個人的には超ロングパスを投げるのかなと思いましたが、「ヴィクトリーフォーメーション」といってニーダウンをするためのフォーメーションだったので、ニーダウンで延長になると思い込んでいました。

 

www.youtube.com

 

しかし、プレー開始直後にQBブレイディ#12が右に走っていきます。これで「ロングパスか!」と思いきや、逆サイドにボールを持ったRBルイス#33が走っていきます。「ロングパスかな...あぁニーダウンか。。。やっぱりロングパスだ!じゃなくてランプレーかい!」という二重三重に罠をはって勝ちにくる非常にペイトリオッツらしいプレーでした。

 

ただ、このプレーでタッチダウンを奪えなかった上にルイスが怪我をしてしまい、なんとなくモヤモヤとしたオーバータイム突入となりました。

 

史上初のオーバータイム

こうしてスーパーボウル51回目にして初のオーバータイムへと突入します。

 

オーバータイムは15分間ですが、先に点を取った方が勝ちになります。ただし、先攻チームの最初の攻撃がフィールドゴールに終わった場合には続行されます。

 

整理すると下記のようになります。

  • 先攻チームがTD→先攻チームの勝ち
  • 先攻チームがFG→後攻チームがTD→後攻チームの勝ち
  • 先攻チームがFG→後攻チームがFG→先に得点したほうの勝ち
  • 先攻チームがFG→後攻チームが無得点→先攻チームの勝ち
  • 先攻チームが無得点→後攻チームが無得点→先に得点したほうの勝ち

 

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このルールは、先攻チームがTD→後攻チームがTDのパターンがないので圧倒的に先攻チームが有利になります。

 

この有利な先攻を獲得したのがペイトリオッツでした。

 

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引用:Super Bowl 2017 Score: Quarter-by-Quarter Breakdown of Patriots vs. Falcons | Bleacher Report

 

個人的にはオーバータイムがしばらく続いて欲しかったのですが、ファルコンズにはペイトリオッツの勢いを止めるチカラはなかったようです。最初の攻撃できっちりペイトリオッツがタッチダウンを奪い、スーパーボウル制覇となりました。

 

 

最後のタッチダウンはよく見るとヒザがついたのが早かったようにも見えたので、一応ビデオ判定して欲しかったです。一度タッチダウンの判定をすればいっせいにフィールドになだれ込むのでしょうがない面もありますが。

 

ブレイディのタックル

これでトム・ブレイディは5度目のスーパーボウル制覇、個人では4回目のMVP獲得と歴代をみても屈指の実績をもつNFLプレーヤーになりました。ただ、注目して欲しいのが、前半にインターセプトされたときのタックルです。

 

 

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引用:Brady mocks his Super Bowl pick 6 tackle attempt on Facebook

 

カッコ悪いタックルですが、それでもタックルしにいく姿勢というのはカッコいいです。

 

ペイトリオッツの勝因

後半の猛攻があったのでブレイディに注目が集まりますが、終わってみればペイトリオッツのディフェンス陣の底力の勝利だったように思います。ポイントになったファンブルリカバーもありましたが、前半ファルコンズのランに苦戦していたのに、後半はしっかりとアジャストして最初のタッチダウン以降を無得点に抑えたというのはさすが「最強の楯」でした。

 

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引用:Patriots stun Falcons with historic Super Bowl comeback, OT win | khou.com

 

ファルコンズのディフェンス陣は、インターセプトやQBサックをいくつも決めており前評判以上のディフェンスをしていたとは思いますが、後半のせっかくサックしても15ヤードパスを通されるという展開はもったいなかったです。

 

ファルコンズオフェンスのプレーコールについてはいろいろ言われているようですが、レギュラーシーズンから強気に攻めていった結果のスーパーボウルであり、いつも通りのやり方を貫いたプレーコーラーを責めることはできないです。

 

 

パスディフェンスのうまさ

戦況とは関係ないですが、見ていて一番感じたのがNFLプレーヤーのパスディフェンスのうまさです。

 

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引用:How the Falcons choked to the biggest collapse in Super Bowl history

 

パスを捕った瞬間にボールを叩いて落とす技術というのが凄まじく感じました。レシーバーに後追いになってしまっていても、タックルをしながらボールを狙う正確さが普段の試合よりも目立った気がします。フラッグフットボールだと捕った瞬間にボールにいくのはルール的に非常にグレーな部分なので、何とも言えませんが、プレーの正確さを大事にという意味で参考にしたいと思っています。

 

総括

全体を観て思ったことは、誰かと観ていてよかった、ということです。

 

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引用:Super Bowl 51’s MVP Candidates* | The MMQB with Peter King

 

ひとりで観ていてもドキドキするような展開でしたが、やはり盛り上がりに欠けます。もしかしたら、前半で離脱していたかもしれません。チームメイトと最後まで盛り上がって観ることができて楽しかったです。

 

 

ただ、このレビューは2度ほど録画を見直して書きました。それもそれで楽しかったです。冗長になってしまったかもしれませんが、ひとりでも多くの人がスーパーボウルをキッカケにフットボールに興味を持ってもらえることを期待して書きました。

 

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ということで、第51回スーパーボウルのレビューでした。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)