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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

ミシガン大学ウルヴァリンの観察映画「ザ・ビッグハウス」(想田和弘監督)がめっちゃ気になる!

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

今回はミシガン大学ウルヴァリンの観察映画「ザ・ビッグハウス」について書きたいと思います。

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引用:ザ・ビッグハウス : 作品情報 - 映画.com

 

The Big House

先日、チーム密着のドキュメンタリー番組「オールオアナッシング」でミシガン大学ウルヴァリンのシリーズについて書きましたが、今回は同じミシガン大学ウルヴァリンに密着した映画が公開されるようです。

 

 

タイトルは「ザ・ビッグハウス」です。

 

 

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「ザ・ビッグハウス」というのはミシガン大学が本拠地としているスタジアムのことです。収容人数は107,601人で、全米でも最大規模です。

 

日本の感覚では、カレッジフットボールよりもNFLのほうがスタジアムが大きいと思ってしまうのですが、NFLでは試合チケットを売り切らないとローカルテレビ放送は行わないという「ブラックアウトルール」があるのである程度スタジアムの大きさは抑制されています。

 

 

今回は、このビッグハウスで試合をするミシガン大学ウルヴァリンを題材に映画が撮られています。

 

観察映画

監督は想田和弘監督です。ナレーションやテロップを入れない独特のドキュメンタリー映画を撮られています。2005年の川崎市議会議員補欠選挙のある候補者を追った「選挙」がよく知られている作品かもしれません。

 

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ある事柄が映っていて、それをどう捉えるのか、どう解釈するのかというのは観客に委ねられています。

 

「選挙」を見たときに自分は国のあり方とか選挙の仕組みとかそういったものにイライラし続けて観ていましたが、友人に聞くと「大爆笑だった」といった具合に人によってかなり感じ方が違ってくるのが観察映画です。

 

せっかくなので、「観察映画の十戒」を引用します。

 

  1. 被写体や題材に関するリサーチは行わない。
  2. 被写体との撮影内容に関する打ち合わせは、原則行わない。
  3. 台本は書かない。作品のテーマや落とし所も、撮影前やその最中に設定しない。行き当たりばったりでカメラを回し、予定調和を求めない。
  4. 機動性を高め臨機応変に状況に即応するため、カメラは原則僕が一人で回し、録音も自分で行う。
  5. 必要ないかも?と思っても、カメラはなるべく長時間、あらゆる場面で回す。
  6. 撮影は、「広く浅く」ではなく、「狭く深く」を心がける。「多角的な取材をしている」という幻想を演出するだけのアリバイ的な取材は慎む。
  7. 編集作業でも、予めテーマを設定しない。
  8. ナレーション、説明テロップ、音楽を原則として使わない。それらの装置は、観客による能動的な観察の邪魔をしかねない。また、映像に対する解釈の幅を狭め、一義的で平坦にしてしまう嫌いがある。
  9. 観客が十分に映像や音を観察できるよう、カットは長めに編集し、余白を残す。その場に居合わせたかのような臨場感や、時間の流れを大切にする。
  10. 制作費は基本的に自社で出す。カネを出したら口も出したくなるのが人情だから、ヒモ付きの投資は一切受けない。作品の内容に干渉を受けない助成金を受けるのはアリ。

 

 

今回の「ザ・ビッグハウス」では想田監督を含む17人の映画作家がそれぞれバラバラに観察したものを編集して1本の映画にしているそうです。

 

なんのテーマも設定せずに撮影する、といってもやはり主観からは離れることはできないと思いますし、つなぎ合わせるのが人である以上、そこからは明確なテーマは浮き上がってくると思うので、個人的には「観察映画」が客観性の高いものであるとは思っていません。

 

ただ、主観を強く押し付けられるわけでもないのでナレーションもテロップもない映像を見せられることで、自分自身それをどう解釈するかという能動的なテーマの読み取りが試されるというおもしろさがあると思います。

 

全然関係ありませんが、ドキュメンタリー映画でも監督のインタビューの仕方が気に入らなくて観ていて全然楽しめないし、テーマうんぬんよりもそこに腹が立つ、みたいな作品もありますよね。

 

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このへんは、例の件で記者会見の回答の内容よりも記者の質問の態度や姿勢、その内容のほうがきになってしまうのと似ているのかもしれません。

 

そういった意味で「観察映画」はノイズになるようなものは極力ないので、ドキュメンタリーとして優秀なのかもしれません。

 

NCAAとビジネス

カレッジフットボールは日本の大学アメフトとは桁が違います。

 

スタジアムの収容人数だけではなく、ビジネス面でも違います。ミシガン大学ウルヴァリンにおける、チケット収入、放映権料、グッズ・ライセンス料などの総額売り上げは年間170億円以上らしいです。この額は日本のプロ野球でいうとジャイアンツ、タイガースに次ぐ数字、カープよりも多いです。

 

ただ、プロ野球は100試合以上の試合がありますが、カレッジフットボールは20試合もありません。

 

 

下の記事によると、テキサス大学ロングホーンズの収入は1億900万ドル、利益は8100万ドルらしいです。

 

 

日本でもNCAAの設立なんて話が出ていますが、MLBやNBAを上回る売り上げを出しているアメリカのNCAAを前にすると「ちょっと目標が高すぎないか?」と思わざるを得ませんが、目的は売り上げだけではないので、そういった動きがあるのは歓迎です。

 

 

そんなハンパないビジネスをしているNCAAやカレッジフットボールですが、問題点もあります。

 

ざっくり言うと、学生が怪我などのリスクを負って無償でプレーしていることで大学や協会側が莫大に利益を上げているという状況です。

 

 

「オールオアナッシング」でも少し描かれていましたが、大学生でありつつ同時にスタジアムに観客を呼ぶためのプロアスリートでもあります。環境面ではかなり優遇されてはいますが、報酬はありません。

 

観察映画だとこういった状況については見えにくいので、今回の映画のなかに出てくるのかわかりませんが、こういった状況のもとでカレッジフットボールは動いているというのを知った上で観るとおもしろいかもしれません。

 

書籍版も出ているみたいです。先に読んでしまうと先入観を持ってしまいそうなので、先に映画を観てから読んでみようと思っています。

 

THE BIG HOUSE アメリカを撮る

THE BIG HOUSE アメリカを撮る

 

 

ということで、観察映画「ザ・ビッグハウス」についてでした。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)