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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

「2秒遅れて後ろからタックルなんて結構かなり頻繁にある」「日大が絶好調で、関学はブレーキ掛けるために問題にしている」という暴論(虎ノ門ニュース:須田慎一郎)

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

今回は「虎ノ門ニュース」というネット番組で許せない報道があったので、それについて書きたいと思います。

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引用:『真相深入り!虎ノ門ニュース』 | DHCテレビ

 

監督辞任

日大の件については、あまり追って記事をかいていませんでしたが、5月19日(土)に日大アメフト部の内田監督は辞任を発表したようです。

 

発表が関学への謝罪の帰りの伊丹空港で報道陣に対応した際というのも不誠実な感じがしますし、「すべて私の責任」という対応も、それでこの件を終わらせにかかっているのではないかという不信感を募らせます。

 

まだ関東学生アメリカンフットボール連盟による追加的な処分や日大からの追加回答が出ていないなかで、ここでいろいろ書いても仕方ないと思うので、これ以上はやめておきます。

 

過熱報道

今回の件は最初はアメフト界だけで騒がれていた話だったのに、みるみる騒ぎが大きくなり、連日マスメディアで取り上げられることになりました。

 

ワイドショーでは大してアメフトを知らない人たちが好きなように話しているようですが、どういう報道をされても不快なので特に見ていません。

 

ただ、今回ありえないコメントを残している番組があったので、アメフトの尊厳を守るために取り上げたいと思います。

 

虎ノ門ニュース

その番組とはネットを中心に放送している「虎ノ門ニュース」です。放送後にアーカイブとしてYouTubeにアップされていました。

 

www.youtube.com

 

1:35:07から今回の件について言及されています。

 

下記はこの件について、経済ジャーナリストの須田慎一郎さんのコメントの書き起こしです。

 

これ、冒頭に申し上げたところなんですけれども、ただね、大前提としてどうなんですか、監督から指示をされた、こういった部員がですね、そう言った。それに対して監督がそんなことはない、アメリカンフットボール部もそういったことはないと事実を否定した。この流れを見てみると何か違和感感じない?

 

で、果たしてそんな嘘をつくだろうか。で、逆に言えば指示があったと考える方がすべてのつじつまが合うんですよ。で、どういうことかというと、やっぱりね、往々にしてあの手のこと、2秒遅れて後ろからタックルなんていうのは、アメリカンフットボールの世界では結構かなり頻繁にあるんですってね。

 

ああいったカタチで相手の選手にダメージを与えるってことは結構往々にして行われているんですってね。ただ、ルールとしてはルール違反であるかもしれないけれども、そういったことが横行している状況がまずありますよ、と。

 

で、そのことを前提として考えてみると、そういう指示が来たとしてもなんら不思議じゃない状況。で、なぜ今回のケースだけが問題になったのかというと、今季ね、日大は非常に絶好調で、やっぱりそこを潰したいといっているのかな。日大にブレーキを掛けたい、というような、まぁ何というの、意向が、背景があったんではないか。

 

そう考えていくと、すべてのつじつまが合ってきちゃうんですよ。

 

ただ、それを全部明らかにしてしまうとアメリカンフットボールの競技自体が崩壊しかねないから、じゃあ日大だけじゃないんだな、他の大学どうなの、実業団どうなの、みたいなことになってってしまうと収集つかなくなってしまうから、まぁことはですね、どうなんでしょうね、一番リーズナブルな決着のつけかたはこの選手が自らの判断で、自らの責任でやったと、個人の責任に押し付けちゃうのが一番簡単なんですよ。結果としてね。

 

それでこの問題に決着をつけるという方向にいま進んでいるのかなと。果たしてそれでいいのかどうなのか、ということを考えてみた方がいいんじゃないかと。

 

だからね、あまりにもいまの報道っていうのは表面的過ぎる。

 

話をまとめるとこんな感じです。

 

  • 2秒後に後ろからタックルがあるというのは結構かなり頻繁にあること
  • それをすべて咎めているとアメフトが崩壊してしまう
  • 日大は今季絶好調なので、関学はそれにブレーキを掛けるために咎めにいった
  • 監督からそのような指示が出ていても不思議ではない
  • 結論として個人の責任とするのが簡単だが、それはどうなのか
  • いまの報道は表面的である

 

書き起こしにある「冒頭に申し上げた」ことについても同様の内容でした。

 

ちなみに、このあとの武田さんの話したことを要約すると、

 

相撲協会は古い体質が残っているからいろいろと不祥事が起きてしまったと言われているが、アメフトはそれほど古くないスポーツであり、ルールは非常に合理的なシステムである。それでもこのような相撲と同じようなことが起きたということは、スポーツがもたらす心の闇の部分があるのではないか。

 

ということでした。武田さんは以前にアメフトの深夜番組に熱中されていたらしく、カレッジフットボールをよく見ていたそうです。

 

全体として、ちょっと何言ってるのかわからない、なんですが順番に突っ込んでいきます。

 

あのようなプレーは結構かなり頻繁にある

一応、須田さんんは伝聞のように話していますが、不確かな伝聞を前提に話すというのはジャーナリストとしてどうなんでしょうか。

 

あのようなプレーが結構かなり頻繁にある、なんてことはありえません。

 

アメフトをプレーしてきた人も見続けてきた人も誰一人そのようなことは言っていませんし、仮にそれが事実だとしても誰一人そういったことを言い出さないことのほうが、日大が否定を続けていることよりもずっと違和感があります。

 

これがサッカーや野球のように日本における大きな産業や興行になっていて、それが破綻してしまえば大打撃になってしまうようなスポーツであればこういった陰謀論的な話もわからなくはないです。アメフトは産業、興行として成り立っているとは言いがたく、少なくとも中継していたり、スポンサードしているわけでもないマスメディアにとってアメフトが破綻してもそこまでダメージはありません。

 

それとも、自分が知らないうちにアメフトは暗黙の了解的なことを全員が保持してくれるような大きな存在になったんでしょうか。

 

机上の空論としても全く成り立っていません。

 

「結構かなり頻繁にある」ことではないというのはアメフトを1試合見ればわかる話です。

 

どういうデータから「結構かなり頻繁にある」という結論に達したのか聞いても、陰謀論者はこういったときには「アメフト界全体として隠蔽しているからそのようなデータは残っていない」みたいな話をするはずです。陰謀論はなに言ってもそうやって否定避け、周りがそれだけ強く否定しているということは陰謀論が正しい証左であるとしてどんどんその人のなかで強化されていってしまいます。

 

陰謀論、最強。

 

日大は今季絶好調なので、関学はそれにブレーキを掛けるために咎めにいった

スポーツにおける陰謀論としてなかなかポピュラーな展開です。

 

昨シーズン、日大フェニックスは関学に勝って学生日本一に輝いたので、ちょっとぐらいは説得力がありそうな話です。

 

ただ、よく考えると「じゃあ、なんで昨シーズンにこれをやらなかったの?」という疑問が浮かび上がります。

 

調子のいいチームに難癖をつけてブレーキをかけてやろうと考えるのであれば、なぜ昨シーズンの決勝戦の前後で実行しなかったのか。なぜ一番影響の少ないと思われる春のオープン戦の序盤でやる必要があったのか。

 

今回の件は、日大がうまく対応していれば春の試合がなくなるぐらいで防げた可能性があります。なぜこんなタイミングで切り札とも言えるようなブレーキの掛け方をしたのか全くわかりません。「そう考えていくと、すべてのつじつまが合ってきちゃうんですよ。」とか全く以て説得力がありません。

 

すべて咎めているとアメフトが崩壊してしまう

仮に関学としてこのタイミングが最適であると判断して咎めにいったのだとして、「結構かなり頻繁にある」という前提があるのであれば、日大は関学から責められたときに「そっちもやっているだろ!」という反論が予想されます。

 

それをやっているとアメフトが崩壊してしまう、という話らしいですが、関学がそういったリスクを負って咎めにいくことも、日大がアメフトを守るために批判を甘んじて受け止めるのもよくわかりません。

 

わからないことだらけですが、個人の責任に押し付けてしまうのは不適切であるということだけは理解できます。

 

ただ、問題の根源を辿っていくと難癖つけにきた関学の責任なんてことを言ってもおかしくないので、ここを結論として賛成であるとは間違っても言えません。

 

逆張り

結局、放送法が届かないところで好き勝手話すだけの場で、ドヤ顔したいが為の逆張りを展開しているだけで、何ら芯を食っていない話です。

 

「報道が表層的」だとメディア批判までしていますが、ここまで「妄想的」な話が展開され、多くの人目に触れているのはスルーできません。今回のプレーについて、「アメフトを冒涜している」みたいな表現をしている人がいますが、同じようにこういった論説もアメフトや視聴者を冒涜しています。

 

冒頭のトークにて、自分が日大出身だから擁護しているわけではない、なんて話もされていますが、どこを取っても逆張りと出身校を擁護したいがための話にしか聞こえません。

 

スポーツがもたらす心の闇の部分

須田さんの話に比べたら、武田さんの話はまだまともに聞こえますが、たかが問題のあったスポーツ団体を恣意的に2つピックしただけで、あたかもスポーツが何かしら悪い影響を与えていると言うのは全く科学者らしくない態度です。

 

いまいちピントの合わない話をするよりも、カレッジフットボール観ていたなら「結構かなり頻繁にある」なんて暴論を否定して欲しかったです。

 

アメフトにおける暴力について

「結構かなり頻繁にある」という部分については明らかに間違っていると言えますが、今回のようなアメフトの域を越えての暴力的なプレーというのがないというもの嘘になります。

 

NFLでもいろいろとやらかしているプレーヤーが何人かいます。

 

www.youtube.com

 

ただ、これらはプレーヤー個人が暴走してしまったり、プレー中にヒートアップしたことで起きてしまったことばかりで、最初から反則覚悟でチームオーダーが疑われるカタチで連発した、というケースは聞いたことがありません。レイトヒットは勢い余ってやってしまうことはたまにありますが、2秒後というのは考えられないです。

 

個人的に聞いたことのある最悪なケースは、記憶が不確かですが、アメリカの高校で審判の判定を不服に思い、プレー中に偶然を装って後ろからタックルした事件でしょうか。

 

強烈なタックルでの脳震盪というのは毎試合あります。前回のスーパーボウルでもハードヒットで脳震盪を起こして退場となったプレーヤーがいます。

 

www.youtube.com

 

もしかしたら、こういうものひっくるめた上で「結構かなり頻繁にある」と表現されているのかもしれませんが、前述した点において全く質が異なります。全くの認識違いです。

 

ブログで個人を糾弾してもしょうがないですし、きっと影響はないと思います。ここまで書いておきながら相手にするだけムダかも、という気持ちもあります。

 

しかし、アメフトをよく知らない人が間違った認識を持ってしまうことは避けたいので今回書きました。もしかしたら、番組に意見を送るかもしれません。

  

服従の心理 (河出文庫)

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ということで、暴論に相手してみました。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)