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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

作戦の作り方 その11 「シチュエーションから考える」

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今回も作戦の作り方の続きについて書いていきます。

 

前回はディフェンスを設定してそれに有効な作戦を作っていく、という作り方について書きました。

 

qboekendorp.hatenablog.com

 

最後のほうに相手ディフェンスをどんどん詳しく設定していく、というようなことを書きましたが、その設定にシチュエーションも加えていきます。

 

シチュエーションとは「1st&15▽」とか「3rd&8△」といったようなことです。

 

ここでは、1回目の攻撃、2回目の攻撃、、、を「1st、2nd、、、」と、ファーストダウン、もしくはタッチダウン獲得までのヤード数を「&○」と、ファーストダウン獲得前を「△」、獲得後を「▽」と書きます。

 

なので、「1st&15△」は1回目の攻撃でファーストダウンまで残り15ヤード、「3rd&8▽」は3回目の攻撃でタッチダウンまで8ヤードのシチュエーションを示します。

 

なお、ルールはNFL FLAGのもの、最初の攻撃開始は5ヤード地点、ファーストダウン獲得までは15ヤード、そこからタッチダウンまでは20ヤードというのを前提とします。

 

 

前回の相手ディフェンスを設定する作り方にこのシチュエーションの設定を加えると、話は少し複雑になります。

 

前回の作り方であれば「1-3 ZONE」と設定すれば「LBを動かしつつアンダーゾーンをショートパスで攻める」というようなことを考えれば充分でしたが、シチュエーションを設定すると「3rd&12△で1−3 ZONE」という設定をすると、ショートパスでパスを成功させてもタッチダウンは取れず攻守交代になってしまいます。

 

つまり、シチュエーションを追加することでオフェンス、ディフェンス双方に狙いが設定され、それに合わせた作戦が要求されることになります。

 

 

一番わかりやすいのはトライフォーポイントです。

 

トライフォーポイントになるとオフェンス、ディフェンス双方の狙いが明確にあるので、作戦を作る分にはわかりやすくなります。

 

オフェンスの狙いは、

 

・エンドゾーン内でパスを通す

・5ヤード以内のパスからランアフターキャッチでゴールラインを越える

 

のどちらかしかありません。

 

エンドゾーン内でパスを通すことを考えるのであれば、相手ディフェンスを想定した上で、どこが一番パスが通りそうなのかを考えます。

 

ディフェンスのやり方にもよりますが、一般的にはエンドゾーンの4つの隅、サイドラインとゴールラインが交わる箇所とサイドラインとエンドラインが交わる箇所です。

 

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ここにパスを通して得点を取りたいとすれば、レシーバーはどんなコースを走ればよいか、ということを考えていきます。

 

ちなみに、丸がフィールドの外まであるのはボールが外にあってもレシーバーがフィールド内でキャッチすればそのキャッチが認められるからです。

 

NFL FLAGのルールでは、片足でもフィールド内に残っていればよく、ジャンプして空中でキャッチした場合は、最初に地面に着いた足がフィールド内であればキャッチが認められます。

 

ラインをまたいで同時にフィールド内とフィールド外に着いてしまった場合にはキャッチは認められません。

 

また、一度フィールドに出たプレーヤーは最初にボールに触れることができません。

 

なので、フィールドの外に向かって投げられたパスをディフェンスは外から防ぐことしかできず、完璧にコントロールされてしまえば防ぎようがありません。

 

 

ディフェンスはこの四隅を狙われることを当然警戒しています。

 

そうなれば、それを逆手に取って内側を狙うような作戦、あるいは両方を組み合わせた作戦を考えます。

 

 

「トライフォーポイント1点」というシチュエーションからこういったことをまずはイメージしつつ、前回のようにディフェンスも設定します。

 

トライフォーポイント1点の場合に多い「マンツーマン・ディフェンス」や、「2-2 ZONE」、これまで記事には出てきてませんが「縦4割(横に4人並んでのゾーン・ディフェンス)」などです。

 

これまで書いてきたようにそれぞれの守り方には弱点があるので、その弱点と前述した四隅プラスαの狙いを組み合わせて作戦を作っていきます。

 

 

また、オフェンスのもう一つ狙いである5ヤード以内でバスを成功させてランアフターキャッチ、というのも同じような過程で考えていきます。

 

こっちは使用頻度がそこまで高くないですが、それゆえ相手ディフェンスの想定を外すことができるので、どちらも考えておきます。

 


シチュエーションが「トライフォーポイント1点」であれば狙いが明確なので考えやすいですが、攻撃権にまだ余裕がある「1st」「2nd」だと想定される狙いが多すぎて考えるのは難しくなってしまいます。

 

なので、こういったシチュエーションの場合はとりあえずはざっくりとした狙いを設定します。

 

例えば、「1st&15▽」、もっと絞ると試合の最初の攻撃の場合だと、

 

「緊張して動きが悪いだろうからまずは確実に進めることができるランプレーで3ヤードぐらい進めたい」

 

というようなことを想定します。

 

そうすると、それに伴っていろんなことを考えることができます。

 

「調子に乗ってオーディブル・コールからロングパスみたいなことは絶対しない」とか、

 

「ロングスナップを使ったランプレーの場合、スナップがQBの頭を越えてしまったり、QBが取り損なったり、ハンドオフを落としてしまったりすればエンドゾーン内にボールを落としてしまいセーフティとなるので避けよう」とか、

 

「相手の守り方がわからないので、モーションやシフトを使うことで探りを入れよう」

 

qboekendorp.hatenablog.com

 

といったことを考えます。

 

こうやってシチュエーションによって考えなければいけないことを挙げていきながらオフェンスの狙いを明確にしていきます。

 

 

「緊張して動きが悪いだろうからまずは確実に進めることができるランプレーで3ヤードぐらい進めたい」というのは例えばの話でこの想定はいくらでも変わります。

 

さっきとは逆に「ディフェンスはきっと緊張しているだろうから一気にタッチダウンパスを狙う」でもありです。「とりあえずはいつも練習しているプレーで様子を見る」でもいいです。


こうやってざっくりな設定のなかからいろいろやりたいことを挙げ、そこから見えてきた明確な狙いをもとに作戦を作ります。

 

すごく細かな設定のなかで作った作戦はそのすごく細かな設定のなかでしか機能しないと思いきや、意外と汎用性を持っています。

 

「トライフォーポイント1点」用に作った作戦はもちろん「3rd&5△」で使えますし、距離やダウン数が前後してても設定にそれほど大きな変更がないので充分に使えます。

 

なので、いろいろなシチュエーションを設定して作戦を作っていくだけで攻撃の幅をどんどん広げることができます。

 


シチュエーションの捉え方については、個人やチームによっていろいろあるので、それはまた別の機会に書きたいと思います。

 

ここに少しだけ書きました。

 

qboekendorp.hatenablog.com

 


ということで、今回はシチュエーションから考える作戦の作り方でした。


Kyohei

 

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