Written by HOMMURA Kyohei. (@YouTube&@Twitter&@Facebook)
今回はタイムアウトの使い方について書きます。
タイムアウトとは?
タイムアウトとは1分間試合を止めることが出来る権利のことです。
NFL FLAG大会では前後半通じて2回、アメフトでは前後半それぞれ3回ずつその権利があります。
タイムアウトの利点としては以下のようなものがあります。
1.ゲームクロック(試合時間)を止めることができる。
2.プレークロック(レディーフォープレーからの時間)をリセットすることができる。
3.ハドルを1分間することができる。
アメフトは細かいルールがあるので、ここからはNFL FLAG大会のルールを前提に話を進めます。
1.ゲームクロックを止めることができる。
フラッグにおけるタイムアウトはほとんどこのパターンです。
ランニングタイムの場合にはゲームクロックはずっと止まりません。プレーしていようが何をしていようがゲームクロックは回り続けます。
例えば、負けている状況で残り30秒でディフェンスだったとします。
この場合、タイムアウトを使わないと相手はプレーせずに勝てます。前述の通りプレーしなくてもゲームクロックは回り続けるので、相手オフェンスはレディーフォープレーが15秒待って反則(ディレイ・オブ・ザ・ゲーム)を3回続ければ最低45秒間ゲームクロックを消費させることができます。
反則があった場合には罰退があり、5ヤード地点からの攻撃開始の場合にはハーフディスタンスが適用されるので、次のプレーの準備に時間がかかってしまいます。
そうして何だかんだで計1分間消費させることが可能になります。
これはプレーしない場合で14秒ギリギリでスナップし、プレーした場合はさらに時間が消費されます。
ディフェンスチームはそれをさせないためにタイムアウトを使用します。
タイムアウトを使用するとゲームクロックが止まり、ゲームクロックが進むのはスナップされてからになります。そうなった場合、レディ・フォー・プレーからスナップまでの時間や審判作業の時間といったプレーしていないときに時間を消費されることはありません。
単純に2回の攻撃をプレー中だけゲームクロックが進むので、プレーがすぐに終われば消費する時間を30秒ほどに抑えることができます。
逆に、負けていてオフェンスの場合でも同様のことが起きます。
残り30秒で6点差を追いかける展開になった場合、ハドルをせずにプレーをはじめても2プレーするのが限界です。この状況でタイムアウトをうまく使えばハドルを組んだ上で3回以上プレーすることができます。
こういったゲームクロックを止めるためにタイムアウトを使うパターンは、基本的には試合終盤で負けているチームが逆転する機会を増やすために行います。
例外があるとすれば、前半終盤で勝っているチームがインターセプトしてエンドゾーン直前からオフェンスがはじまるケースです。
前半残り1分といったときにリードしていてオフェンスになれば無理に攻めずに時間を消費させて前半を終わらせるのが一般的です。
なぜなら無理に攻めてインターセプト・リターン・タッチダウンされるのが最悪だからです。相手に反撃の機会を与えないようにします。
ただ、残り数ヤードであれば確実にタッチダウンを取って前半のうちに点差をつけて後半を有利に進めようという考え方もできます。後半がディフェンスからはじまるのであればなおさら前半のうちに取っておくのも有力です。
個人的には前半でタイムアウトを使うのはあまり好きではありません。
後半がビハインドの展開になってしまったときに、使える回数が1回なのか2回なのか、というのは試合運びにかなり大きな影響を与えてしまいます。なので、よっぽどのことがない限りは前半にタイムアウトは使わないようにしています。
2.プレークロックをリセットすることができる。
ここからはフラッグではマイナーなタイムアウトの使い方です。
プレークロックとはレディ・フォー・プレーからの時間のことで、15秒以内にスナップをしないとディレイ・オブ・ザ・ゲームの反則を取られてしまいます。
タイムアウトを使用した場合、このプレークロックはリセットされ、1分後にタイムアウト解除されればまた0から15までカウントされます。
なので、オフェンスでハドルが長引いてしまい反則取られそうなときにタイムアウトを取ることで回避することができます。
反則を取られる5ヤード罰退でロスオブダウンなので、サードダウンでエンドゾーンまであと少しのときにやってしまうと攻守交代になってしまいます。それを避けるためにタイムアウトを取ることがあります。
3.ハドルを1分間することができる。
フラッグではいかに相手に合わせてアジャスト(意識や戦術などを変えていくこと)することが重要になります。
そのためにはチーム全体の意思疎通が必要となりますが、ちゃんと話せる機会はハーフタイムの2分間しかありません。
なので、後半にアジャストをしようとした場合、話せる機会がありません。チーム全体の意思疎通が取れず、このままプレーしていてもズルズルと負けてしまう、という状況でタイムアウトを取れば1分間落ち着いてハドルをすることができます。
ハドルで話さなくても水分を取って息を整えて休むことができます。相手のイケイケなムードを一旦落ち着かせることもできます。
そうやってうまくタイムアウトを使って間を取ることで不利だった形勢を五分近くまで持ってくることができます。
前述の「ゲームクロックを止めるためのタイムアウト」は後半残りわずかで1回のタッチダウンで同点か逆転できる点差ではないとそこまで意味がありません。
9点差以上付けられそうな状況になれば、ゲームクロックのことよりもそのときの勢いや流れを考えてタイムアウトを使った方が有意義です。
アメフトや一部のフラッグのルールではタイムアウト以外でもゲームクロックを止める方法があるので、タイムマネジメントは重要な要素になりますが、NFL FLAGではそれがないので上記のようなことを考えてタイムアウト使うのを意識すれば充分だと思います。
ということで、タイムアウトの使い方でした。