Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回はゾーンディフェンスを個別に書いていきたいと思います。最初は「1-3 ZONE」です。
ゾーンの割り方
「1-3 ZONE」はディープゾーンに3人、アンダーゾーンに1人配置します。
ディープゾーンに多く人数がいるのでロングパスに対応しやすく、ロングシチュエーションやリードしている状況で多く使用されます。24分割で示すと下図のようになります。
LBの担当区域がアンダーゾーンすべてになっていますが、実際はこれだけ広いゾーンをカバーすることはできないので、実質は以下のような限定的なカバーになります。
(色が薄くなっているのは、状況や能力によってカバーできるかも、という範囲です。)
「1-3 ZONE」のメリットとして、両CBが下がっているので、オフェンスが狙っていきたい外側のロングパスに対応しやすいところです。
CBは4人のレシーバーのうち、一番外側の奥に走るレシーバーをカバーすることになるので、ロングターゲットになるような外側のレシーバーをマンツーマン的に見ることができます。とりあえず、一発TDを食らわない、というのはどんな状況であっても試合運びにおいて重要なことになります。
その一方で、アンダーゾーンを担当するのがLB1人になってしまうので、ショートパスを止めるのはなかなか難しくなります。
アレンジ
そういった場合、同じ「1-3 ZONE」であっても、両CBの深さ、もしくは意識を変えてミドルゾーンを中心にディープゾーンやアンダーゾーンもカバーできるような割り方をすることでショートパス対策をすることができます。
イメージとしては「1-3 ZONE」と「3-1 ZONE」の中間的な守り方で「1-2-1 ZONE」と呼べるかもしれません。この場合、CBが少し上がっているのでSが広い守備範囲が必須になります。
アシンメトリックなディスガイズ
前回の記事に書いたように非対称的にカバーすることもできます。
ストロングサイドに配置された2人のレシーバーがコンビネーションで攻めてくるパターンが考えられるので、LBをストロングサイドに寄せて右のアンダーゾーンの端までカバーできるようにします。
このときウィークサイドが手薄になりますが、ロングパスだけでやられないようにしてアンダーゾーンにショートパスをパスカットすることは諦めてランアフターキャッチで進まれないようにだけ注意します。
LBがストロングサイドにズレる動きを全体として大きくしていくと、ディスガイズで「2-2 ZONE」になります。
ゾーンの割り方がいびつになっているのは、ディスガイズでスナップ前まで違う場所にいるので、本来の位置に移動しながらゾーンをカバーしていくので、遠いところやシームをカバーしきれない場合があるからです。ディスガイズのタイミング次第なので、必ずしもこの通りになるというわけではありませんが、ディスガイズにもリスクがあるということを表現したつもりです。
「1-3 ZONE」のポイント
「1-3 ZONE」はLBが1人で手薄な分、何を止めるのか、何を諦めるのか、というような狙いをはっきりさせて、それを5人全体でどのように活かしていくのか、カバーしていくのか、ということがポイントになっていきます。
LBの狙いがはっきりしないままやっていると相手オフェンスにズルズルと進まれる結果になってしまうので注意が必要です。
vol.2ではオフェンスのプレーをいれた解説をしています。
ということで、「1-3 ZONE」についてでした。