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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

ゾーンディフェンスを攻略するためのオフェンスの4つのポイント

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Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)

今回はゾーンディフェンスをしてくる相手を攻略するための4つのポイントについて書いていきたいと思います。過去の記事のリライト記事です。

 

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過去記事

今回はマンツーマンディフェンス攻略に続いてのリライト記事ということで、同じように過去の記事を基にしています。マンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスとそれぞれ1本ずつあって対比して書いてある方がわかりやすいように思いました。

 

 

 

マンツーマンとゾーン

フラッグフットボールのディフェンスの作戦には大きく分けて2種類あります。マンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスです。

 

マンツーマンディフェンスはディフェンスプレーヤーそれぞれがカバーする担当選手を決めていくのに対して、ゾーンディフェンスではぞれぞれがカバーする担当区域を決めて守ります。

 

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オフェンスはこの2種類のディフェンスに対して有効な作戦が異なるので、ディフェンスがどちらで守っているのかというのを一番最初に把握しなければいけません。相手がどのようなディフェンスをしているかを把握した上で、的確に弱点を突くことで得点することができます。

 

ゾーンディフェンスの特徴

オフェンスから見たゾーンディフェンスの特徴として以下のようなことが挙げられます。言い換えればゾーンディフェンスの攻め所です。

 

ディフェンスプレーヤーは担当区域のなかだけを動く

ゾーンディフェンスはそれぞれの担当区域内にいるレシーバーを基本的にはカバーするので、その区域内に2人いれば2人をカバーしなければいけなくなりますし、誰もいなければ誰もカバーせず、レシーバーが走り込んでくることに備えます。

 

それぞれの担当区域が曖昧

レシーバーごとに担当が決まっているマンツーマンディフェンスに対して、ゾーンディフェンスは空間を仕切っているので、どこまで誰が担当しているのかが非常に曖昧になります。

 

どういうゾーンの組み方にするかは事前に決めなければいけない

ゾーンディフェンスではアンダーゾーンとディープゾーンにそれぞれ何分割かしてディフェンスプレーヤーを配置していきますが、それらは相手の作戦はおろかフォーメーションを見る前に決めなくてはいけません。やっている間にゾーンの組み方を変えることはなかなか容易ではありません。

 

オフェンスはこういったゾーンディフェンスの特徴をうまくついた作戦を考えます。

 

ゾーンディフェンス攻略のための4つのポイント

前述のゾーンディフェンスの攻め所を踏まえた上でのポイントは以下の4つです。

 

・数的有利を作る

・シームを攻める

・時間差を利用する

・オプションルートを使う

 

数的有利を作る。

1人の区域に複数のレシーバーが走り込むことで数的有利を作ることで、どちらかをフリーにするやり方です。アンダーゾーンを担当しているのが2人であれば、3人アンダーゾーンに走らせます。

 

仮にディフェンスが数的不利なことに気が付いてディープゾーンをカバーしているプレーヤーがカバーにいったとしても、もともと深めのポジショニングであれば充分にパスをキャッチする余裕はあります。

 

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ただし、数的有利を作れたとしてもそれが1人でカバーしきれない範囲にすることが重要です。1人の担当区域に2人のレシーバーがいたとしても2人を1人でカバーされてしまえば意味がありません。

 

オフェンスとしてはディフェンスプレーヤーが二者択一の状況にしたいので、レシーバー同士の距離に注意しなければいけません。

 

下図では左のディープゾーンで数的有利を作っていますが、レシーバー同士の距離が近すぎる上にディープゾーンだとパスの滞空時間があるので、1人の守備範囲が広くなってしまいます。

 

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また、単純にアンダーゾーンに4人のレシーバーが走り込めばほぼ確実に数的有利を作り出すことができるのですが、誰もディープゾーンに走り込まないために縦のストレッチができないのであまり得策ではありません。

 

縦のストレッチというのは奥に走るレシーバーと手前に走るレシーバーとの距離のことです。この縦のストレッチができていないと結果的にディフェンスプレーヤー同士の距離も近くなってしまうので、ディフェンスの相互フォローがしやすくなってしまいます。 ディープゾーンに走り込むレシーバーがいることで縦にストレッチすることができ、アンダーゾーンへ走るレシーバーがディフェンスプレーヤーと勝負できるスペースを作り出すことができます。

 

シームを攻める

シームというのは担当区域同士の縫い目、切れ目のことです。前述の通り、ゾーンディフェンスは誰がどこまで担当するのかというのが曖昧なため、そこにレシーバーが走り込むと誰がカバーすればいいのか迷ってしまいます。

 

2人でお見合いになって誰もカバーしにいかなければそのレシーバーがフリーになるので、パスを難なく通すことができますし、2人でカバーされてそのレシーバーに投げられなくても、マンツーマンディフェンスの理屈と同様にどこかで2対1の状況が作られれば、どこかでフリーのレシーバーができます。

 

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上図の作戦では「3-1 ZONE」のシームをそれぞれ狙っています。

 

一番右のレシーバーが右CBとSFを奥に引き付けながら、一番左のレシーバーは左CBとLBの間を、センターはLBとSFの間を、右内のレシーバーは右CBとSFの間のシームを狙って走り込んでいます。

 

シームを攻めるのを執拗にしていくと相手もそのシームを攻められるのを嫌って修正します。担当区域の縫い目は変わらずとも最初のセット位置などを工夫することでシームを狙いにくくしてくるはずです。

 

しかし、所詮1人のディフェンスプレーヤーが守れる区域の広さは変わりません。右にセット位置をずらせば左に隙が生まれます。前の意識を強くすれば後ろへの反応が遅れます。

 

どのように担当区域を組んでも、どのようなセット位置にしてもオフェンスの攻め所のシームは存在します。オフェンスとすればこのシームがどこにあるのか、ということを的確に見極めることが勝負を決めることになります。

 

時間差を利用する

ゾーンディフェンスでは自分の担当する区域に走り込んできたレシーバーをカバーするので、スナップからある程度時間が経ってから誰がどうカバーするのかを見極める必要があるのですが、同時に時間経過のなかでのレシーバーの動きに対して弱い側面があります。

 

自分の担当区域に1人しかレシーバーがいないと思いきや、誰もいなくなって、その後2人が走り込んでくる、というような可能性が考えられます。ゾーンディフェンスでは難しいですが、そういった可能性に対して対処しなければいけません。

 

逆にオフェンスの立場からすると、ディフェンスに自分の担当区域に走り込んでくるのは1人だと見せかけておいて、後で2人に増える、というような状況を作ることでうまく攻めることができます。

 

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上図ではセンターだけ遅れて右のアンダーゾーンに走り込みます。

 

右のアンダーゾーンを担当するディフェンスプレーヤーとすれば、右内のレシーバーがディープゾーンにいったのでスルーしたら、右外のレシーバーが自分のほうに走り込んできたのでカバーしたら、もう1人逆サイドに走り込まれていた、という感じになっています。

 

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上図では2回レシーバーが方向転換しています。こういった動きを「ダブルムーブ」といいます。この動きをすることで右内のレシーバーは中央奥のゾーンに走り込むと見せかけて、右外レシーバーと時間差で右奥のゾーンに走り込むことになります。

 

右内のレシーバーの最初の内側に入る動きにLBやSFが反応すれば、右のCBに受け渡すことができなくなるので結果的にゾーンの組み方を崩すことができますアメフトではよく使われる動き方ですが、フラッグでは投げるタイミングが遅くなってしまうためそこまで多く使われる印象はありません。

 

オプションルートを使う

オプションルートというのはレシーバーがいくつか決まっているルートの中から選んで走るというやり方です。例えば、真っ直ぐいくのか、途中で止まるのか、ディフェンスの様子によって決める、みたいな感じです。

 

レシーバーが勝手に走るルートを変えてしまうとQBが反応できないので、基本的にはルート変更はしないのが一般的ですが、オプションルートというのは予めQBが把握している選択肢のなかのどれかを選ぶので対応しやすく、ディフェンスに合わせて的確にその選択肢が選択できるのであればどんなディフェンスでも後出し的にパスがもらいやすいところに走り込むことができます。

 

 

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上図の作戦では、一番右のレシーバーがオプションルートを使っています。いくら効果的だからといっても4人いるレシーバー全員がオプションルートを使うとQBも把握しきれないので、キーになるプレーヤー1人、ないし2人だけオプションルートになるのが一般的だと思います。

 

上記の作戦のイメージとしては以下のようになります。

 

・相手ディフェンスが「1-3 ZONE」であれば真っ直ぐCBの裏へ走る。

・「2-2 ZONE」であれば45°曲がって2人のSFの間を狙うか、途中で止まって真ん中のシームを狙う。

・「1-3 ZONE」であれは30°曲がってSFとCBの間を走る。

 

このオプションルートはうまくできれば非常に効果的ですが、QBとの以心伝心が必要になるので使いこなすのはかなり難しいです。特に上のようにゾーンディフェンスの組み方によって変わる場合はレシーバーは正確な判断が求められます。

 

なので、実践的には「真っ直ぐ奥に走り込むのがファーストチョイスだけど、マッチアップのセット位置が深くロングパスを警戒しているようであれば7ヤードで止まる」みたいな限定的な使い方のほうが練習をあまり必要とせず使い勝手がいいかもしれません。

 

まとめ

以上の4つポイントを意識した作戦を作ることでゾーンディフェンスを攻略することができます。

 

レシーバーもこのようなポイントを知っておくことでQBがいまどのような意図でどのようにゾーンディフェンスを攻めようとしているのかがわかるので、キャッチしやすくなるはずです。

 

また、QBはレシーバーからの情報で相手ディフェンスがどのようなゾーンの割り方しているのか気が付くときがあります。「さっきまで奥に走っていたら受け渡ししていたのに、いまは最後までついてきた」みたいなことをハドルで言ってもらうと意外と攻略の糸口になります。

 

もちろん、サイドラインは毎プレー相手ディフェンスがどのような割り方をしているのかを注意深く観察したほうがいいです。QBは目の前のことに必死でディフェンスが見えていないことは多々あります。そういうときはQBがサイドラインにきたときに「こういうゾーンディフェンスしているからここのシームを狙うといいかも」みたいな一言があると助かります。

 

なので、こういった攻略のポイントは全員が知っていたほうが得です。

 

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ということで、ゾーンディフェンスを攻略するための4つのポイントでした。

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)