Written by HOMMURA Kyohei. (@YouTube&@Twitter&@Facebook)
今回は2020年1月3日(金)に行われた第73回ライスボウルについて書いていきたいと思います。
引用:https://mainichi.jp/articles/20200103/k00/00m/050/163000c
ライスボウル
ライスボウルとは、学生チャンピオンを決める「甲子園ボウル」と社会人アメフトXリーグのチャンピオンを決める「Japan X Bowl」の勝者が対決し、アメフト日本一を決める試合のことです。
今回は関西学院大学ファイターズ(学生)と富士通フロンティアーズ(社会人)の試合となりました。
ライスボウルまでの道のりは下のYouTube動画で話しているので見てみてください。
過去のライスボウルについてもこのブログで書いています。
アメフト日本一決定戦「ライスボウル2017」の観戦記と不要論 - RED ZONE
アメフト日本一決定戦「ライスボウル2018」観戦レビューと不要論について - RED ZONE
アメフト日本一決定戦「ライスボウル2019」注目ポイント「富士通フロンティアーズvs関西学院大学ファイターズ」 - RED ZONE
試合結果
試合は関西学院大学ファイターズ 14-38 富士通フロンティアーズで、富士通フロンティアーズの勝利となりました。
関西学院大学ファイターズは鳥内監督がこの試合で退任すること、そして日大の例の件で被害にあったQBが出場するということで注目を集めましたが、終わってみれば富士通フロンティアーズの圧勝に終わりました。
富士通フロンティアーズは後半に選手を入れ替えながらやっていたので、最後までフルメンバーでやっていたら50点は取っていたと思います。関西学院大学ファイターズはいいところはあったと思いますが、かなりの実力差があったように思います。
最終盤にタッチダウンからのオンサイドキックで再び攻撃権を得て、あと少しでタッチダウンまで迫ったシーンがあったことで見どころが多少あってよかった、という感じです。
関西学院大学ファイターズのオフェンスはいいところでパスを通しているものの、なにを軸に攻めていくのか、どこにストロングポイントのあるチームなのかというのが見えてこなかったのが残念です。
この試合を以て「日本最高峰の試合」「アメフトの魅力が凝縮された試合」とするのはなかなか難しいように感じました。
アメフトの魅力?
ちょうど中田敦彦さんが自身が監修したカードゲーム「XENO」の話に出てきた「野球って面白いかどうか議論」に似ている気がしています。
この動画の4分時点ぐらいからです。
「少年野球を見ていると、フォアボールは多いし、エラーも多いし、全然盛り上がらない。野球ってこんなもんなの?って思うけど、メジャーリーグとかでホントの凄い戦いを見たときに震えるほど野球って面白いなってなると思うんですよ。」
ゲームなりスポーツというのは器であり、媒介になるもので、人間ドラマを見せていかなければ面白くならない
という話です。どうトップレベルの試合を実現するのか、どう人間ドラマを見せることができるのか、というのは難しい問題だと思います。
ただ、レベルが相対的に低い試合を多くの人に見せて、アメフト自体の魅力を低めに推し量られて損をしている状況というのは危機的な状況であると感じています。
多すぎる怪我人問題
以前からかなり問題になっていましたが、今回も学生チームの選手が頻繁に怪我がありました。レフリータイムアウトが取られ、担架で選手を運んでいくシーンが10回はいかないまでもそのくらい見られました。
アメフトを普段見ない人にとってみればライスボウルが唯一見るアメフトの試合であることが多いので、ここまで怪我人によって試合が止まってしまうと「アメフトは危険なスポーツ」というイメージを視聴者に与えている可能性が高いです。
日本一を決める試合がネガティブプロモーションとなってしまうのは残念でなりません。
また、怪我人が出るたびにゲームクロックが止まることで試合時間が延びて、中継の時間からはみ出てしまい、別チャンネルに移動しなくてはいけなくなってしまったのも残念な要素です。今後、いい試合をしていてもそういったことになると別番組にチャンネルを変えられてしまう可能性が高くなってしまいます。
キッキングルール
詳しいことはよくわからないのですが、キッキングルールが変更になっていたみたいです。
キックオフでフェアキャッチすると取った地点ではなくタッチバックとなり、25ヤード地点から攻撃開始となるようです。Xリーグの試合だとエンドラインを越えるか、リターンするかというケースが殆どだったのでルールが変わっていることに気がつかなかったです。
今回、副音声のルール解説のほうを聞いていたのですが、正直声だけでルールを説明するというのは限界があるように感じました。
NFLとかだとリプレイを見ながら解説者が線を引いて教えてくれますが、そのくらいないと説明するほうも、それを聞く方もなかなかしんどいように思います。
ハーフタイムショー
ハーフタイムショーは島津亜矢さんが「時代」と「リンダリンダ」を歌いました。
昨年のJXBのDA PUMPのように国民的によく知られている歌手をブッキングできないのであればこういった懐メロ方向は悪くないと思います。個人的にはもっと若い人をターゲットにして欲しいと思っているので残念ですが。
それとその方向性だとしても中島みゆきとTHE BLUE HEARTSはご本人がカリスマ過ぎてカバーは微妙な気がします。会場は盛り上がったかもしれないですが、テレビだとちょっとコレジャナイ感がありました。
もうスカパラとかH ZETTRIOのような有名インストバンドに単純に盛り上げてもらうというのがいいんじゃないですかね。
ライスボウル廃止論
近年騒がれているライスボウル廃止論ですが、今回社会人チームの圧勝と学生チームの怪我人続出でまた議論は起きてくるだろうと思います。
個人的な見解については、YouTubeで話しています。
ざっくり言うと、レベルの違いとか外国人とか怪我人とかそういう話よりも前にコンセプトとして、学生チャンピオンvs社会人チャンピオンを日本一決定戦と銘打ってやるのは無理があるのではないか、ということです。
例えば、これから日本のアメフトのレベルを上げていって、日本人NFLプレーヤーを誕生させるとか、日本代表がアメリカ代表に迫るとか、そういったことを考えていくなかで、学生と社会人がいい勝負をするという前提はおかしいのではないかと考えています。
これが成立するのは、両者が完全なアマチュアであり、レベルが低く、大学卒業後のプレー環境が整備されていないスポーツにおいてです。
前述したように日本のアメフトをもっと高レベルにしていこう、もっと発展していこうということであればライスボウルは発展的解消の道を選ぶべきではないかと思います。
ライスボウルのようなコンセプトの試合が成立しているようじゃダメだということで、方向性を示して欲しいと思っています。
もちろん学生チームと社会人チームが対戦すること自体が悪いことではないと思っています。学生側にもモチベーションがあったほうがいいと思いますが、その相手が社会人リーグチャンピオンである必要はないと思いますし、日本一をかけて戦うというのも違うと思います。
ただ、これまでのライスボウルを変えるにもいろいろな大人の事情があるはずなので、いますぐに廃止というのは難しいと思います。
だとしても、アメフト協会にはなんらかの意思表示がないことにはいつまでのネガティブプロモーションをし続けることになってしまいます。
下の記事にあるようなボケたコメントを出しているようでは望みはないかもしれませんが。
アメフトファンに見限られないうちに何かしら発信して欲しいです。
とりあえず、今週からNFLのプレーオフがはじまるのでそちらに集中したいと思います。
ということで、ライスボウルについてでした。