Written by HOMMURA Kyohei. (@YouTube&@Twitter&@Facebook)
今回は2019年1月3日に開催されたライスボウル2018について書いていきたいと思います。
引用:http://ricebowl.americanfootball.jp/archives/1338
ライスボウル
ライスボウルとは社会人アメフト「Xリーグ」で優勝したチームと、大学生アメフトで優勝したチームが対戦し、日本一のチームを決める試合です。
今回は富士通フロンティアーズと関西学院大学ファイターズの対戦になりました。
富士通フロンティアーズはXリーグの決勝戦であるJXBでも圧倒的な強さを見せ、順当にライスボウルまで駒を進めました。
一方、関西学院大学ファイターズは春のオープン戦にて例の日本大学フェニックスの一件でゴタゴタあり注目を集める中、関西リーグでも関西大学カイザースに引き分けで一時どうなるかと思われましたが、立命館パンサーズとの試合で2戦2勝と勝負強さを見せ、甲子園ボウルでは早稲田大学ビックベアーズを退け学生日本一となっています。
注目ポイントについては下の記事にてまとめましたが、関学がランプレーを止めることができるのかどうか、スペシャルプレーをどこで使うのかという2点を挙げました。
レビュー
上記の2点を踏まえて今回の試合をレビューします。
関学ディフェンスの奮闘
試合としては富士通の圧勝という結果に終わってしまいましたが、富士通の強力なランオフェンスに対して関学のディフェンスはかなり頑張ったように見えました。
ボックス内の人数を増やして、富士通RBニクソンにDLが引きずられてもLBやDBが素早く集まって複数人で止めるということが徹底されていました。後半になって疲れが見えはじめて大きくゲインするケースも増えてしまいましたが、前半は少なくともファーストダウン取られるかどうかぐらいまで押さえ込めたように思います。
一気にタッチダウンまで持っていかれるようなランプレーが出るだろうと思っていましたが、そんなシーンはほぼなく前半を見る限りではわからない試合だったように思います。
ランストップに人数を割いた分、パスカバーの人数は減ってしまうのでレシーバーと1対1の状況が多くなりましたが、DB陣もパスは通されるものの一気にロングパスを通されてしまったり、ランアフターキャッチで捲られてしまったりというシーンがなかったのはよかったと思います。
スペシャルプレーはなし
事前の記者会見でスペシャルプレーはないと言っていましたが、本当にこれまでのようなスペシャルプレーはありませんでした。
ただ、スペシャルとまではいかないまでも少し変わったプレーで、相手ディフェンスの狙いを外してくるようなプレーは多々あったように思います。異なる特徴をもった3人のQBをうまく使い分けることで相手に的を絞らせないオフェンスが展開できていました。
ただ、もったいないインターセプトが2回あったのが悔やまれます。スコアを見るとインターセプトがなくても、という感じに思えますが、序盤のこれから流れを持っていきたいところでのターンオーバーというのは精神的ダメージが大きかったはずです。
2Qあたりでニクソンがファンブルしかけたシーンがありましたが、このあたりで関学ディフェンスが逆にターンオーバーを奪ってワンポゼッション差をキープしたままハーフタイムに入っていたら試合は関学に転ぶ可能性もあったかもしれません。
いずれにしても奇をてらわずに正攻法で戦ってもここまでできると見せてくれた関学は賞賛に値すると思います。
ハーフタイムショー
いつも会場で見てますが、テレビ中継だとハーフタイムショーの映像はないんですね。いままで全然気がつきませんでした。
ライスボウル不要論
最後に近年よく言われているライスボウル不要論について書いておきたいと思います。
ライスボウル不要論については過去にも記事にしてきました。
なぜ不要だと主張されているかというと、Xリーグがレベルアップおよび外国人プレーヤーが増えてきたために、大学生との戦力と体格の差が大きくなり危険であるからです。
関西学院大学ファイターズの鳥内監督は記事のなかで下記のように述べています。
「規格が違う選手がようさん(たくさん)おる。フィジカルが違うから危ない。大学1年生が出る可能性があって、あんな体の選手と勝負をして、死ぬ気でやってこいとは言えない。DBはスピードに乗ったRBと勝負をするので余計に危ない。一発で重篤な事態が起こる可能性がある」
今回の試合でも関学の頑張りでまだ少なかったように思いますが、怪我人は出ていました。脳震盪を何度も起こすと競技人生だけではなく、日常生活にも大きな影響を与えることになります。注目を集めるボウルゲームにて大きな怪我などが起きてしまえばアメフトは危険なスポーツであるということがさらに強調されてしまう可能性もあります。
この点については「試合にならない」とは比べものにならないくらいに大きな問題です。「アメフトに怪我はつきもの」みたいな話に着地することはないように議論して欲しいです。
また、この記事のなかで大学の指導者の大半は「廃止賛成」だと書かれています。これまであまり指導者がどちらの立場であるかは明かされていませんでしたが、大学側はやりたくないみたいです。
社会人側としては、「どうせこっちが勝つし、学生が危険だからやめよう」とは言い出しにくいと思いますが、勝って当然、負ければ批判されるような試合を無理してやる必要はない気がします。
そうなってくると、代替案としてどのようにボウルゲームをデザインするのかという問題になります。先述の記事にて鳥内監督は下記のように言っています。
「甲子園ボウルは昔のように東西大学王座決定戦にして、その勝者と全日本大学選手権を勝ち上がったチームでライスボウルをやればいい」
自分にはいまいちイメージがつきません。
甲子園ボウルは全日本大学選手権の決勝戦として開催されており、東日本チャンピオンと西日本チャンピオンとか対戦しています。東日本から北海道、東北、関東の3チームでトーナメント、西日本から中四国、北陸、九州、東海、関西上位2チーム、計6チームでのトーナメントでチャンピオンを決定しています。
これを「昔のように東西大学王座決定戦」にするというのは、2018年まで行われた関東チャンピオンと関西チャンピオンが対戦する形式のことを言っていると思います。
ということは、「関東vs関西での勝者」vs「東日本vs西日本での勝者」ということでしょうか。
これ、やったとしても関東と東日本、関西と西日本の勝者チームが同じである可能性が高いので結局それぞれの決勝戦は同じカードになり、ライスボウルは3度目の対決になる可能性が高いです。そうなるとそこまでバリューのある試合になるのか疑問です。
一番手っ取り早いのはJXBをライスボウルにズラして開催するというのがいいと思います。
ただ、その場合、主催がアメフト協会からXリーグに変わってしまうので、一番注目度の高いボウルゲームをアメフト協会が簡単に手放すのかは微妙な話になる気がします。
いっそのこと甲子園ボウルとJXBのダブルヘッダーとかできないのかなと思いましたが、そうなると関西アメフト学連が黙っていない気がします。
このへんのパワーバランスというか既得権益というか、そのへんが解決しないことにはライスボウルは改善していかないと思います。あくまで外部から見ての話なので、もしかしたら内々で改革は進んでいるかもしれません。
話の落とし所を見失ってしまいましたが、現状自分が不要論について思うのはこんな感じです。
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ということで、ライスボウル2019のレビューと不要論についてでした。