Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回はオフェンスのポジション、クォーターバック(QB)について書きます。
5年ほど前から自分もQBをやっていて、人一倍このポジションにこだわりがあります。
QBの特殊性
QBというポジションは、前回書いた通り「パスを投げる人」です。
バスケで言えばポイントガード、サッカーで言えばトップ下・司令塔といったオフェンスの中心になるポジションです。バスケやサッカーと同じようにパスを投げることで得点のアシストを行うわけですが、その2つのスポーツとは決定的に違う点があります。
それは、1本のパスの重要度です。
アメフトやフラッグでは前方向にパスを投げるのはその攻撃で1回だけと決まっています。1回前にパスを投げてしまうと、そのパスのキャッチしたプレーヤーはパスすることはできません。
どのプレーヤーにパスを投げるかという1回の選択だけでどれだけ進むことができるかが決まってしまいます。その選択を間違えたり、投げ間違ったりすればそのまま失点につながる危険性もあります。
バスケやサッカーであれば一度パスを投げても、状況が悪いとみればボールを返してもらって再度攻撃を組み立てることができます。サッカーであればパスミスしても後ろにディフェンダーが備えているので即失点につながることはありませんが、フラッグの場合はQBがパス投げる前に特定の場所でフラッグを取られてしまったりボールを落としてしまうと即失点になります。
QBの役割はかなりシビアなものであり、QBの優劣がそのまま勝敗になるくらい試合におけるQBの存在は大きなものだと言えます。
プレーコーラーとしてのQB
その上にQBにはさらに重要な役割があります。
それは、「ハドルで作戦を出す」ということです。
アメフトでは作戦はコーチや監督が出すのが一般的ですが、フラッグではフィールド上にいるQBが出します(小学生の場合は大人のコーチの場合もあります)。
「パスを投げる」という役割は野球で言うと(攻守逆ですが)ピッチャーだとすれば、「ハドルで作戦を出す」という役割はキャッチャーだと言えます。自分で作戦を伝えて、自分がその作戦の中心となって実行していきます。
野球では仮に打たれたとしても、ピッチャーは「いまのはキャッチャーのサインが悪かった」、キャッチャーは「いまのはピッチャーが要求したコースとは違うところに来た」と言い訳できますが、QBは自分でサイン出して自分で投げてるようなものなのでそんな言い訳はできません。
オフェンスの失敗すべてがQBの責任となってしまいます。
なので、QBには単純にパスを投げる技術はもちろんのこと、相手との駆け引きに勝つ頭の良さ、オフェンスをまとめる統率力、大きな責任に耐えうる精神力が求められます。
ここまで、QBの難しさについて書いてきましたが、QBにはその難しさに見合うだけの面白さがあります。
パスを通して得点を決めたとき、作戦勝ちができたとき、その結果チームが勝てたとき、他のどのスポーツにもない達成感があります。
それまでずっと考えてきて練習してきた作戦が実際に形になって決まる気持ちよさは最高です。
ディフェンスがカットしたくてもできないギリギリのところに投げられたり、思ってもみないような作戦を立ててこられたり、完全に虚を突かれてしまったり、そうやって苦しんでいる相手ディフェンスを見ながら楽しむドSプレイができます。
自分は得点を決めることができたプレーでもガッツポーズなどせずに「こんなの普通だけど?」という具合にノーリアクションで貫くようにしてます。そっちのほうが相手は悔しいかな、と。誰も見てないかもしれませんが。
これは投げると見せかけて走る作戦です。
#4が自分ですが、走って得点までできたのはこれが唯一かもしれません。
ということで、QBというポジションについてでした。