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フラッグフットボールやアメフトについてあれこれ書きます。~武器はたゆまぬ K.U.F.U.~

羽生善治著「決断力」に学ぶスポーツ上達のコツ

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今回は将棋の羽生善治さんの著者からスポーツが上達するコツについて考えてみたいと思います。

 

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「決断力」羽生善治著

今回紹介するのは羽生さんが2005年に書かれた「決断力」という本です。

 

決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)

 

 

多くの著作がある羽生さんですが、そのなかでもこの「決断力」は一番将棋ファン以外にも読まれた一冊だと思います。将棋のことについてというよりも、30年近く第一線で活躍している棋士の勝負に対する考え方が書かれています。

 

一応、羽生さんを知らない人がいると思うので、簡単に説明しておきます。

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引用:https://laughy.jp/1418708026089138243

 

羽生さんは、7つある将棋の公式タイトルを通算で100期近く獲得し(現役2位は谷川浩司さんの27期)、1995年にはその7つのタイトルすべてを保持する史上初の7冠を達成しました。現在は棋聖、王位、王座の3冠を保持しており、歴史的に見ても最強棋士と言って間違いありません。

 

才能とは、継続できる情熱である

以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。しかし今は、十年とか二十年とか、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。直感でどういう手が浮かぶとか、ある手をぱっと切り捨てることができるとか、確かに個人の能力の差はある。しかし、そういうことより、継続できる情熱を持てる人のほうが、長い目で見ると伸びるのだ。

 

中学生でプロ棋士になってからずっと第一線で戦い続けている羽生さんらしい考え方だと思います。羽生さんに次ぐ人気棋士である藤井猛さんからも、「あれだけタイトルを取って飽きてこないのか、どうやってモチベーションを維持しているのか聞いてみたい」と言われています。

 

【将棋】 羽生さんと森内さんのモチベーションについて話す藤井猛九段 - YouTube

 

自分はフラッグフットボールを10年間ぐらい、その前には野球を10年間ぐらいやってきました。

 

このスポーツ歴を振り返ってみると、局所的なモチベーションの変化はありましたが、やっぱりずっと好きで気がつけばそのことを考えているあたり才能の欠片ぐらいはあるのではないかな、と

 

また、そのなかでモチベーションの維持方法としてやっていたのは「1年ずつ新しいことにチャレンジしていく」ということでした。もともとが飽き性なところがあるので、毎年ポジションを変えたり、プレースタイルを変えてみたりと模索していくことで、モチベーションを失わずに競技に集中していけたように思います。

 

そういった個々人によってモチベーションの維持の方法を見つけることが、上達のコツだと思います。

 

羽生さんは「オールラウンダー」といって特定の得意戦法を持たずになんでも指すという珍しいスタイルです。このスタイルが羽生さんのモチベーションを維持する秘訣なのかもしれません。

 

一方、前述の藤井猛さんは「藤井システム」をはじめてとして誰も思いつかないような大胆な戦法を生み出してきました。勝率のよい流行の戦法ではなく、唯一無二の戦法で勝つというこだわりや天邪鬼さが藤井さんのモチベーションなのかもしれません。

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引用:http://www.asahi.com/shougi/gallery/TKY200605150365.html

 

最初は真似から始める

 初心者が何かを学ぼうとするときには、いきなり大海原に立っても、どこに向かって何をしていいかわからないものだ。たとえば将棋の場合は、他の人の棋譜を並べたり、定跡を覚えるのが一つの勉強方法だ。それは前に通った先駆者の航路だが、真似てみることは大切だ。誰でも最初は真似から始める。

 

 しかし、丸暗記しようとするのではなく、どうしてその人がその航路をたどったのか、どういう過程でそこにたどり着いたのか、その過程を理解することが大切だ。そうした理解に基づいて先駆者の通った航路を何通りも覚える。ある程度レベルが上がるとすでにできている航路から少し離れたところで見て、自分の航路を考えられるようになる。「真似」から「理解する」レベルになると、先駆者の考え方が「ああ。そういうことだったのか」とわかるようになるだろう。それはすごくうれしいことだ。

 

 個人のアイデアは限られている。何かをベースにして、あるいは、何かをきっかけにしてこそ新しい考えがいりいろ浮かぶ。「真似」から「理解」へのステップは、想像力を培う基礎力になるのだ。

 

将棋で誰がどんな手を指したかというのは棋譜というカタチで記録させており、誰でも見ることができます。誰かが画期的な戦法を披露すれば、すぐに広がり研究され、真似されます。

 

スポーツでも同じようにいかに情報を掴むのかというのが勝負になります。NFLではすべての試合が全チームに提供されており各チームは研究にしのぎを削っています。

 

仮に研究され、真似されたとして、その対策をまた研究され、真似されていくことになります。そうやって将棋にしても、スポーツにしてもレベルが向上していきます。

 

このブログで大会の動画を公開したり、どのようにプレーブックを作っているのか、試合中どのようなことを考えているのかということを紹介しているのか、というのは将棋でいうところの「定跡」と「棋譜」を整備して公開するイメージでした。

 

よく成長のプロセスを「守破離」という言われますが、この「守」の部分。「誰かにカタチを教わってそれを守る」ということがフラッグフットボールにはなかったので、アメフトの知識がない人にとっては本当にゼロからスタートしなければいけません。

 

そんなときに、こういうときはこうしたほうがいいという「定跡」と、どこかのチームがこんなプレーをしていたという「棋譜」が公開されていればもっとプレーする敷居は低くできるのではないかと考えました。

 

その結果、記事を読んでうまくなっている人がいるのかどうかというのはわかりませんが、もっと真似している文化があってもいいんじゃないかなと感じています。せっかく過去の自分のプレーブックも公開しているので、真似して欲しいです。

 

梅田望夫著「ウェブ進化論」のなかで、情報がフラット化や、将棋ソフトやインターネットの活用によってある程度のレベルまでは一気に上り詰めることができるということを「学習の高速道路」と比喩しています。また、「高速道路を走りきった先の大渋滞」とも。「大渋滞」というのは守破離での破や離のプロセスのことを指しています。

 

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

 

  

とりあえず、フラッグフットボールがうまくなるための高速道路をなんとなく整備しているところなので、せっかくであれば活用して欲しいですし、よかったら一緒に高速道路を作っていければいいなと思っています。

 

オススメの著書

フラッグフットボールとは別の話になってしまいますが、トップ棋士に将棋ソフトについてインタビューした「不屈の棋士」が非常に面白かったです。

 

不屈の棋士 (講談社現代新書)

不屈の棋士 (講談社現代新書)

 

 

あと、羽生さんのライバルといわれた村山聖さんの生涯を描いた「聖の青春」が11月22日から公開されています。原作の小説もでています。

 

聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

 

 

11月19日(土)公開 映画『聖の青春』予告編 - YouTube

 

話があっちゃこちゃに逸れてしまいましたが、今回紹介したいスポーツが上達するコツは2つです。

 

「自分のモチベーション維持の方法を見つけること」

「真似からはじめて、情報を活用して研究していくこと」

 

当たり前のことですが、自分もこの2点を意識してまた精進していきたいと思っています。

 

Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)