Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回はトム・ブレイディをお手本にQBのドロップバックのコツについて書いていきたいと思います。
引用:Tom Brady looks better than ever for New England Patriots | SI.com
Tom Brady
トム・ブレイディとはNFL史上最高のQBの一人です。
2000年のドラフトでニューイングランド・ペイトリオッツに入団し、歴代最多となる5度のスーパーボウルと4度のスーパーボウルMVPを獲得しています。2016年シーズンは不祥事でレギュラーシーズンを4試合欠場しましたが、結局はスーパーボウル出場、大逆転で勝利でMVPと過去最高とも言えるような結果を残しました。
過去にトム・ブレイディについて書いた記事もあるので、詳しいことはそちらを参照してください。
トム・ブレイディが来日
そんなNFLの絶対的なスターQBが2017年6月21日(水)に来日しました。
「アンダーアーマー2017 トム・ブレイディ・アジアツアー ・ネクストアスリートクリニック」というもので、北京、上海、東京の3都市でクリニックを行いました。
早い話がアンダーアーマーから出るリカバリーウェアの販促ですが、有明コロシアムでは日本のフットボーラーを集めた技術指導も行われました。生でトム・ブレイディが見られるともあって、たくさんの日本のファン(あるいはアンチ)も見学に訪れたようです。
そのなかでトム・ブレイディが直接パスを投げるシーンがありました。下はIBMビックブルーのWR栗原選手へのパスの様子です。
Tom Brady とのRoute!!! Go pro version
— Takashi Kurihara 栗原嵩 (@TeeKeyy) 2017年6月21日
10y hook 12y dig#tombrady #underarmour #japan #football #route #iwill #球めちゃくちゃ速いけど取りやすい #nfl #patriots pic.twitter.com/DpkXEapB7X
Tom Brady with Takashi Kurihara!!!route🏈 wide version #tombrady #patriots #nfl #underarmour #iwill #japan #football #芝が滑りすぎて本気で走れないのが残念 pic.twitter.com/LyH0knfFrC
— Takashi Kurihara 栗原嵩 (@TeeKeyy) 2017年6月21日
動画で見ている分にはあまり伝わりませんが、球がめちゃくちゃ速いみたいです。
トップアスリートがお遊びではなく、ちゃんとパフォーマンスを見せてくれるのがいいですね。
ドロップバックとは
ということで、ドロップバックの話です。ドロップバックとはQBがスナップを受けてから数歩下がることです。
QBがその場でパスを投げようとするとディフェンスが来て邪魔されてしまうので、ある程度下がってディフェンスに邪魔されずに投げるために行います。
アメフトはもちろんのこと、フラッグフットボールでもこのドロップバックがしっかりとできていないといい体勢でパスを投げることができないので「いいパスを投げる準備」としてかなり重要な動きになります。
QB初心者やQB未経験者はスパイラルのかかったパスを投げることができてもこのドロップバックがうまくいかずに、思った通りのパスが投げられないというケースが多いように思います。
ブレイディのドロップバック
今回のトム・ブレイディもパスを投げるときにドロップバックをしています。
パスが速い pic.twitter.com/y0UyfLG3al
— takumaaa_kanamaruuu (@k_taku0813) 2017年6月21日
bradyと栗原崇はヤバイ#underarmor #TBAsiaTour pic.twitter.com/RxZQazi6jj
— Yoshiki (@yoshikicrows51) 2017年6月21日
これを踏まえつつ、個人的に考えるドロップバックのコツを挙げていこうと思います。
リズムよく
ブレイディは動画では後ろに4歩下がって、2歩前に出ています。
このとき、4歩のうち最初の2歩はディフェンスから距離を取るために、最後の2歩は投げる体勢を整えるために使うのが一般的です。当たり前の話ですが、4歩をすべて距離を取るために下がってしまうと体勢が進行方向に流れて言ってしまうので、前に投げようとしてもうまくいきません。
なので、大股2歩してから小股2歩と切り替える必要があります。擬音にすると「トーン トーン タタ」みたいな感じです。
このリズムがしっかりしていればディフェンスから強いプレッシャーが掛かったときでも正確にパスを投げることができます。焦ってトーンのところが小さくなってしまったり、サックを怖がってタタを大きくするとパスを投げるタイミングが遅くなってしまったり、コントロールを欠いたパスになってしまいます。
2歩目の左足の向き
2歩目は右足を後ろに踏んでいますが注目は左足の向きです。
わかりにくいですが、このタイミングです。
このタイミングで左足のつま先が横に向いているのが重要です。
つま先がそのまま前に向いていると、左肩が投げたい方向に向きにくくなり、十分に腰の入ったスローニングができなくなります。左足を真っ直ぐ向いていても、右足で下がるときにカラダが開くようにすることで肩を向けることはできますが、大きく踏み出すことは難しくなりますし、開こうとした結果、体勢が後ろ重心になりやすくなってしまいます。
ざっくり図示するとこんな感じです。
実際にはつま先が着地したあとで右足を踏み出しているときに角度を変えています。この2歩目のときにいかに腰を乗せて踏み出せるかがポイントになります。
右足主導でのスローイング
個人的にブレイディのスローイングの特徴は右足の着き方だと思っています。
カラダの中央よりも少し前目に重心を取りつつ、右脚の股関節で前進している感じです。
最小限の動きで推進力を得ることができるので、ディフェンスが迫ったときでも左足を引くようにカラダを回転させて投げています。
キャム・ニュートンなどの強肩のQBは体勢が悪くともフィジカルで信じられないようなパスを投げていますが、トム・ブレイディはそれがなく、いつでも投げられるし、いつでも逃げられるという体勢を作っているように思います。
左足から?右足から?
最後のポイントですが、これは人それぞれな箇所です。
それは、ドロップバックをするときにどちらの足から下がるのか、ということです。同じような意味ですが、スナップを受けるときにどちらの足を前にしているのか、です。
トム・ブレイディは動画でも、試合中でも基本的には左足を前に出して、1歩目は左足です。
NFLのQBを見てみると、左足派と右足派、どちらもいます。
グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャースは左足派。ピッツバーグ・スティーラーズのベン・ロスリスバーガーは右足派。
元デンバー・ブロンコスのペイトン・マニングは両足を揃えて構えて、左足の向きを変えながら右足が大きく下がります。どちらかと言えば右足派です。
自分は、QBをはじめたときに当時サンディエゴ・チャージャーズのフィリップ・リバースを参考にしたので右足派です。
これはどちらがよくてどちらかが悪いというわけではなく、QBの感覚的なところや得意不得意に起因します。
それぞれのやり方についてはまた後日書いていきたいと思います。
ということで、ドロップバックについてでした。