Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は、前回の枚方リンクスさんとの練習試合の1つのプレーをピックアップして詳しい解説をしたいと思います。
Pick Up
今回ピックアップするプレーはこのプレーです。
シチュエーション
シチュエーションは2ndダウンでタッチダウンまで20ヤードです。オフェンスとしてはなかなか嫌なフィールドポジションです。
ここまでの流れとしては、
#36 359ers Lynx 2h 1s ▽1&15 - YouTube
ショートパスでなかなか進んで、
#37 359ers Lynx 2h 1s ▽2&4 - YouTube
微妙なトリックプレーでファーストダウン獲得。
#38 359ers Lynx 2h 1s △1&20 - YouTube
一気にタッチダウンを狙ってみたがパス失敗。
といった感じです。
1stダウンでロングパスで狙ったので、次もロングパスを投げるような単調なプレーはしたくないというのと、残り20ヤードを2回でということを考えると、ショートパスでランアフターキャッチで10ヤードそこそこゲインを狙うプレーか、10~15ヤードのミドルパスを選択したいシチュエーションだと思います。
プレー選択
ここで自分が選択したプレーは、どちらかと言うと後者で、ミドルパスをメインで狙うけど、ダメなら5,6ヤードでいいかな、というプレーです。
前半を見ていてラッシュが入らないことも多々あったので、ミドルパスであればしっかり投げきれば通るだろう、という見通しのもとでそういった選択をしました。
ディフェンス
一方、枚方リンクスさんからいただいた解説にはこのプレーはこのような記述がありました。
ロングパスを想定し、ラッシュ&ゾーンを選択。ラッシャーを呼び込んでから、QBが右にロールアウトしながら、ゾーンの切れ目に3名のWRを送りこまれた。長身LBの上を超える絶妙なパスコントロール。
この前のプレー解説にはこのように書いてあるので、ロングパスをなかなか警戒されていたことがわかります。
QBが変わり、過去の試合でロングパスをやられたイメージがあったので、ラッシュ&ゾーンを選択。
おそらく1stダウンは「1-3 ZONE」、2ndダウンは「2-2 ZONE」で守っていると思います。
結果19ヤードゲイン
上記のプレー選択とディフェンスの判断の結果、パス成功で19ヤードゲインとなりました。
ディフェンスからの解説には「ゾーンの切れ目に3名のWRを送りこまれた」とありますが、正直QBの立場からすればレシーバーの動きにミスがあります。
レシーバーのミス
このプレーですが、プレーブックではこのように書いてあります。
C#8はコーナー、右内レシーバー#83はフックしてアウト、右外レシーバー#22はフックしてからストレート、左レシーバー#0はシームを走ることになっていました。
ですが、QB#25のロールのタイミングが少し遅れてしまったので右内レシーバー#83が下のような動きをしています。
本来であれば、相手CBの裏を右外レシーバー#22が狙い、その前を左レシーバー#0が狙うという意図だったのに、右内レシーバー#83が上がってしまいました。
こうなると前にいたLBがそのまま右内レシーバー#83を見ながら後ろに下がってしまい、LBとCBとのシームを狭くしてしまう可能性があります。
もっと言うと、右外レシーバー#22がもっとCBを奥に引きつけなければいけません。Kuriさんが以前書いてくれた「縦のストレッチ」が不十分なのでパスを通すのが非常にシビアになってしまいました。
CBを奥に引きつけることができていないので、タッチダウンまでの残り1ヤードが残ってしまいました。QB的には完全にディフェンスに勝っているだけにこれは計算外でした。
QBのミス
レシーバーのミス、とは言うものの、このプレーの意図、コンセプトをしっかりレシーバーに伝えられていないQBのミスです。
タイミングがズレたからといって、自分の好きなところに勝手に走ってしまうとダメだということを徹底していないQBの責任です。
ロールアウトのテクニック
この作戦はQB#25が右にロールアウトするのが前提で作ってあります。
まずは右ロールアウトすることを考えて、ダメならスグに右内レシーバー#83に投げる、もしくは左ロールアウトしてC#8に投げることを考えています。
今回、QB#25は少し左に動いた後にくるっと回って右にロールアウトしています。
フラッグでは回ったらボールデッドというルールがありますが、あくまで「回ってフラッグを取られるのを避ける」のがダメなので、ディフェンスがまだフラッグを取りに行っていない段階で回る分には大丈夫、という解釈です。
では、フラッグを取られるのを避けるために回ったのではないのであれば、なぜ回ったのか。
それは深さを作るためです。
単純に右に流れていったのでは右サイドでパスを投げる体勢をうまく作れません。下図はは真横にロールアウトした場合の動きです。
このようにQBが動いてしまうと、カラダは右に流れてしまいジャンピングスローをしてもいいパスが投げることができません。最悪、右にいったときにフラッグを取られてしまいます。
ラッシャーが早くて後ろ向きに動いてしまえばもうパスを投げるどころではなくなります。
こうならないために回ります。一度回ることで後ろ向きに動くことができるので、ラッシャーからの距離を取りつつ、前に走りながらパスを投げることができます。
前から来るラッシャーをQBの後ろ、フィールドの内側に入れることがポイントです。そうすることでブロックも避けることができます。
回らなくてもロールは少し後ろから入るというのは意識するといいと思います。
動画にある自分のロールアウトはタイミング的に遅くて、モタモタしている感がすごくありますが、こういったことを意識して動いています。
アメフトをやっている方であれば当然でも、フラッグでは意外と意識されない部分かもしれません。
ということで、ロールアクトのテクニックとプレー崩れのときの動きについてでした。
全プレー解説はまだ全然書けていませんが、随時アップしていきます。