Written by HOMMURA Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は読書レビューの第2弾として、「ジャイアントキリングを起こす19の方法」について書いていきたいと思います。
引用:ジャイアントキリング17巻 キャンプ終了&後半戦スタートの巻!: 四葉の放送室
どんな本?
以前このブログでも紹介した人気漫画「ジャイアントキリング」で登場する人物や出来事などを7人の方が解説などをしています。
- 作者: 岩本義弘,田中滋,岡田康宏,是永大輔,川端暁彦,土屋雅史,北健一郎,中林良輔
- 出版社/メーカー: 東邦出版
- 発売日: 2010/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 44回
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目次はこんな感じです。
プロローグ 「ジャイアントキリングという発想」 … 岡田康宏
巻頭 ETU達海猛監督 バーチャル・インタビュー … 岩本義弘
第1章 達海猛のメンタルコントロール … 田中滋
第2賞 達海猛と弱者の戦略 … 岡田康宏
第3章 椿大介に見る、抜擢とブレイクの相関関係 … 川端暁彦
第4章 ひとつのクラブで戦い続けるミスターETU村越茂幸 … 土屋雅史
第5章 フリーライター・藤澤桂はどうやって生活しているのか? … 北健一郎
第6章 ETUのアイドル永田有里と広報のお仕事 … 北健一郎
第7章 達海猛から椿大介へ。ETU7番の系譜 … 岩本義弘
第8章 後藤GMと常勝チームの作り方 … 田中滋
第9章 笠野スカウトに見る、日本サッカーの現実 … 川端暁彦
第10章 日本における最高のファンタジスタ、ルイジ吉田 … 岩本義弘
第11章 平泉監督と監督の言葉 … 岡田康宏
第12章 FWのポジションを争う世良、堺、夏木のライバル関係 … 土屋雅史
第13章 ETUの守護神・緑川宏のGKテクニック … 北健一郎
第14章 赤崎遼が示す年代別代表のメリット・デメリット … 川端暁彦
第15章 ベテラン丹波の存在感 … 田中滋
第16章 ユナイテッド・スカルズとサポーターという生き方 … 岡田康宏
第17章 クラブ経営はつらいよ。ETUとアルビSの経営論 … 是永大輔
コラム 名古屋×ETU 試合レビュー … 土屋雅史
タイトルが「ジャイアントキリングを起こす方法」なので、戦術戦略的な話か、どうチームを作っていくのか、という話に思ってしまいますが、そういった話はあまりありません。どちらかというと、ジャイアントキリングの話の中心にあるETUを実在のチームと比較しつつエピソードを語っていく、という感じです。
なので、スポーツビジネスやマネジメント、サッカーに興味がないと「ふーん」ぐらいの内容だと思います。
逆にそういったものに興味がある人であれば、「ジャイアントキリング」のストーリーは現実と地続きのものであることを感じ、様々な可能性を示唆してくれる漫画であると感じることができると思います。
以下、自分が気になったところを抜粋していきます。
ETU達海監督 バーチャルインタビュー
だって、勝つためだけに、とにっかう必死でプレーするなんて、つまらないよね?第一、ガチガチに気合い入れてピッチに立っても、ろくなプレーができるわけがない。たとえば、2点ビハインドでハーフタイムを迎えたときに、『もう、この試合は勝てないかもしれない』とか「絶対に早時間に1点取らないと追いつけない」なんて思うよりも、『2点ビハインドから逆転勝ちしたら、スゲー盛り上がるだろうな』とか、『その逆転ゴールを俺が決めたら、ヒーローだな』とかって思ったほうが面白いに決まってるじゃん。
何をすれば面白くなるのか、というのが一番の価値基準になっているというのはいかにも達海監督らしいです。
局面をポジティブに捉える、どんなときでもポジティブ思考をする、というのは大事であるとよく言われますが、こういった考え方で一番大事なのは、「そのことが起きた後の絵を明確に想像する」ということです。
メンタルが強い弱いなんて言い方ありますが、メンタルの強い人はかなりの精度でこういった想像をビジュアル化できるそうです。ポジティブなことを思うだけではなく、頭のなかでリアリティのあるポジティブな状況に自分を置いてあげることでジャイアントキリングを起こすだけの精神力をつくり出すことができます。
№.1メンタルトレーニング ―本番で最高の力を発揮する最強の自分をつくる
- 作者: 西田文郎,「元気が出る本」出版部
- 出版社/メーカー: 現代書林
- 発売日: 2010/09/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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#01 達海猛のメンタルコントロール
上記したことが次の章にも出てきます。
達海猛のモチベーションコントロールには、1つの特長がある。未来を想像させるという手法だ。
「想像してみろよ。ここでレギュラー組を倒す。レギュラーの座をつかむ。リーグ戦を勝ち進む。その時、お前達の立場は変わる」
こういった言葉を信じさせることができるかどうか、というのが監督としての手腕になると思います。
できそうもない、想像できないレベルのことを想像させても無理であり、それはモチベーション低下をもたらします。「この人のことを信じてやっていけばホントに実現するかもしれない」と思わせるだけの何かがなければモチベーションはコントロールできません。
#11 平泉監督と監督の言葉
スランプに陥った選手をどのように立ち直らせるのか。元日本代表監督の岡田武史氏は母校の早稲田大学での講演でこのように語っている。
(中略)
スランプの泥沼にあえいでる奴らが10人いるとするじゃないですか。泥沼にあえいでる時に早く手を出してバッと引き上げても、手を離したら大体もう1回落ちるんですよ。そして2回目に落ちた時というのは、中々上がってこない。これ放っておくと、10人いたら5人はそのまま沈みます。でも、5人は必死になってもがき苦しんで、自分の力で淵まではい上がってくる。その時に手を貸した奴は残ります。
(中略)
選手たちに自分自身で立ち直る力をつけてもらうため、自分の力で這い上がってくるまではあえて手を貸さない。目の前で苦しんでいる選手に手を貸さない、というのは非情な態度ではあるが、監督にはときにそういった態度も求められる。
自分はスランプを呼べるような競技レベルでスポーツをやったことはないのでわかりませんが、スランプと戦ってきたというのはキャリアにおいて重要な経験になるように思います。
#12 FWのポジションを争う世良、堺、夏木のライバル関係
ボールってのはな、世良、しぶとく諦めない奴の前に必ず転がってくるもんなんだよ
コレ 俺の持論
引用:画像 : サッカーを違った目線で楽しめるGIANT KILLING(ジャイアント・キリング) 名言 - NAVER まとめ
「ジャイアントキリングを起こす19の方法」ではなく「ジャイアントキリング」の話になってしまいますが、この章で紹介されているこのシーンは屈指の名シーンです。
よりよいチームを作り上げていくためには「よりよい競争」が不可欠です。指導者は競争を正しくデザインしていかなければいけません。プロであれば完全な実力勝負の世界なので割り切ることもできますが、アマチュアではそうはいきません。
FWであれば途中出場や戦術戦略にあわせてという可能性がありますが、GKであればサブになってしまえば怪我以外ではまず出番がありません。競争と一緒にそういった控え選手のモチベーションをコントロールしていくかというのは難しいところです。
ただ、うれしいことにフラッグフットボールでは交替は自由です。サッカーと違って交替枠がなく、いつでも出入りができます。このルールはチームマネジメントをしていくにあたってかなり助かります。どんな選手でも一応は出場することができるので、その人にあったチャレンジをデザインすることができます。
フラッグフットボールでは個々の競争は作れなくても、要所要所でチャレンジングな課題さえ設定できればうまくマネジメントしていけるような気がします。
ということでオススメ
前述した通り戦術戦略論の話ではないので、本編の「ジャイアントキリング」を読んでおかないとピンと来ない話もたくさんあります。
「ジャイアントキリング」読んでるけど、もっとサッカーのことやスポーツのことを深く知りたい、という人にはオススメです。「ジャイアントキリング」は言わずもがなすべての人にオススメです。
GIANT KILLING コミック 1-40巻セット (モーニング KC)
- 作者: ツジトモ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/05/23
- メディア: コミック
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「ジャイアントキリング」について書いた本は他にもあるようなので、読んだらまたレビューを書きたいと思います。
これは組織論についてでしょうか。
今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀
- 作者: 仲山進也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらはリーダーシップについてでしょうか。
この2冊はビジネス書っぽい感じで、今回の「ジャイアントキリングを起こす19の方法」はファンブック+αみたいな感じでしょうか。
ということで、レビュー第2弾でした。