Written by Kyohei. (@twitter&@facebook)
今回は昨日の練習試合のレビューをしながら弱点の攻め方書きたいと思います。
対戦相手は向こうの情報戦に支障が出る可能性があるので伏せておきます。
試合は6月の春の大会にやったっきりの3ヶ月ぶり、その間に練習したのは1ヶ月前にスクリメージを1時間ほどやった1回なのでかなりのブランクがありました。
なので、今回の試合はどこまで自分のカラダが動くのかやってみる、ぐらいのテンションで臨みました。
結果は2試合ともに勝利。スコアは覚えていません。おそらく2~3ポゼッション差だったと思うのですが、久々の試合ということもあって、レシーバーとの息が合わなかったり、不用意なパスでインターセプトされたりとそこまでの内容でした。
自らのミスの振り返りをここに書いてもしょうがないので、一般的な話に落とし込みながら書きたいと思います。
以前の記事にも書きましたがどんなゾーン・ディフェンスでも弱点があります。
QBとしてはその弱点をどのように攻めるのか、というのがポイントになります。
「2-2 ZONE」では4人のディフェンスプレーヤーの真ん中が大きな弱点になります。
この弱点を補うためにラッシャーが立ちはだかることで狙われないようにします。
今回の試合ではこのラッシャーがなかなか身長が高かったので多少投げにくくなっていました。
ただ、そうはいってもタイミングを変えたり、ちょっとドロップバックの角度を変えたりするといつでも攻めることができます。困ったらセンターフックでとりあえず進めることができる、という感じです。
こういった状況のときに考えることは、この弱点をどう攻めるのか、です。
「つながりから考える」作戦の作り方にも通じるところですが、この弱点をずっと攻めると相手が対策を練ってくるので、先述のセンターフックというような明け透けな弱点狙いは要所だけにしておきます。
それ以外にどうやって攻めるのかというと、内側のレシーバーの7ヤード・インや外側のレシーバーのカールなどです。
こういったコースをしっかりリードで投げることができれば、うまくすればランアフターキャッチでかなり進めることになります。
タイミングを変えるのであればスラントも有効です。
ただし、こういった作戦を続けていくと、相手ディフェンスも守り方を変えてきます。
一番ベタなのはウィークサイド(レシーバーの人数が少ないサイド)のセーフティが真ん中のゾーンに意識を置くやり方です。
オフェンスとしてはこれをされると嫌なので、左のレシーバーやセンターをうまく使いたいところです。
センターがフックを続けた後にコーナーに走ると一気に裏が取れることがあります。
ウィークサイドのSがセンターのフックに意識がいっている隙に一気にディープゾーンを攻めます。
左レシーバーであれば真ん中のゾーンに走るフェイクを入れてからディープゾーンに走ると有効です。
ディフェンスはこれをさせないために今度は左CBを下げてゾーンを割り振りを変えるディスガイズをしてくる可能性があるので、QBはそこを見極めが重要です。
こうなった場合は、当然左サイドのアンダーゾーンが弱点になるので、右サイドからそこへ走り込むような作戦を考えます。
簡単にアジャストやディスガイズさせないようにバランスよく攻めるというのも重要なことです。
今度は最初から「1-3 ZONE」の場合です。
「1-3 ZONE」の弱点はアンダーゾーンにあります。
アンダーゾーンにLBが1人しかいないためにショートパスでの攻めに弱い傾向にあります。
そもそも「1-3 ZONE」はショートパスなら通されてもOKぐらいの意識で守っているので、オフェンス側が意識するのはいかにショートパスからのランアフターキャッチで進んでいくのか、ということです。
注目するのはLBの位置です。
LBはアンダーゾーンを1人で守らなくてはいけないと言っても、横30ヤードすべてを守ることは不可能なので、どちらか一方のサイドだったり、センターか内側のレシーバーだったり、ある程度集中するものを決めながら守ってきます。
LBがセンターに寄りながら左サイドのアンダーゾーンに意識があれば、右サイドのレシーバーへのタイミングの早いパスを狙います。
「1-3 ZONE」ではSが深く位置していることが多いので、うまくスピードに乗ってパスを受けることができれば右CBにフラッグを取られることなく、Sのところまで進めることができます。
逆にLBが内側のレシーバーや右サイドに寄っているときには、左サイドのレシーバー2枚が左サイドのアンダーゾーンを攻めます。
先ほど出てきた右の外側のレシーバーが逆サイドにまで走り込むのも有効です。
LBがウィークサイドに寄っている場合でもSが内側のレシーバーに比較的近くに位置しているときがあります。
こうなると、先ほどのショートパスを通してもランアフターキャッチで距離を稼ぐことはできません。
こういった守り方になると「1-3 ZONE」というよりも、ほとんどマンツーマン・ディフェンスに近い状態になります。
そうなると、クロスルートを使ったり、LBとCBの深さのギャップを狙ったりするのが有効になります。
こういったLBの動きを見ながらオフェンスを進めることが「1-3 ZONE」を相手にする場合には重要になります。
また、「2-2 ZONE」でも「1-3 ZONE」でもディフェンスの深さは攻めるポイントを探す上で重要になります。
上記は「1-3 ZONE」でも右CBは比較的浅く、左CBとSが深めに位置しています。
当然のことながら深ければ深いほど、ロングパスは難しく、ショートパスは簡単になります。
また、この場合、SとLBの距離も大きく空いているので真ん中から左サイドにかけてのミドルゾーンに大きな弱点ができています。
深く位置することでロングパスは難しくなりますが、左のアンダーゾーンに加えてミドルゾーンも攻めることができます。
作戦としてではなく、癖で深くなってしまったり、もしくは癖で上がってしまったりするディフェンスプレーヤーはよくいるので、試合をしながらそれぞれの深さを観察することで攻めるポイントを見つけることができます。
弱点といえば、今回の試合でのこちらの弱点に挙げられるのが、体力のなさ、でした。
相手がこちらの状況をどう捉えていたのかはわかりませんが、ここを攻められてしまうとかなりキツかったように思います。
前回カレッジフットボールの記事で紹介した元オレゴン大のチップケリーの「リードオプション・スプレッドオフェンス」には「ノーハドル」という特徴があります。
フラッグにおいてもノーハドルにはいろいろなメリット・デメリットがありますが、そのメリットの一つにディフェンスを消耗させることが挙げられます。
ハドルをせずにすぐに攻撃をはじめるとディフェンスはハドルができず、休む時間も、作戦を練る時間もなくなります。
さらに、ランプレーを多用すると、ディフラッグのためにディフェンス全員がボールキャリアに集まるのでその都度走らされることになります。
早いタイミングであればすぐにボールキャリアに向かうのでそこまで走る必要はありませんが、例えば、ドラゴンフライからのドロープレー(パスと見せかけてのラン)などであれば、ディフェンスはレシーバーのカバーに下がった後にランの対応で上がるため走る距離を増やすことができます。
また、ハドルができないことで、ディフェンスの修正ができず、こちらの練習不足を攻めることができました。
こういったやり方は人道的な是非があるかもしれませんが、ノーハドルとまではいかなくてもハドルを素早くしてディフェンスに急がせることで精神的にプレッシャーを掛けることはどんな相手に対しても有効です。
試合では相手の弱点、ウィークポイントを攻めることを意識しますが、それと同時に相手のストロングポイントを消すことも意識しなければいけません。
今回で言えば右に配置した2人のレシーバーのスピードになるのですが、その2人へのロングパスは右CBがうまく上がらずに防がれていたように感じました。
本来のポジションはわかりませんが、相手ディフェンスのストロングポイントがその右CBであるように思ったので、そこで無茶な勝負にはいかずに、勝負所だけ勝負するようにしました。
ストロングポイントにストロングポイントをぶつけるというのはどんなスポーツにおいても定跡です。
そのストロングポイントvsストロングポイントで優位に進めることができれば、試合自体をかなり優位に進めることができます。
攻守交代して、こちらのディフェンスと相手のオフェンスを考えます。
こちらのディフェンスのストロングポイントはラッシャーの速さで、2試合でいくつものQBサックやセーフティを記録しました。
こういったとき、自分がQBであればもう少しランプレーを使っていたと思います。
ハンドオフをすることによってラッシャーは一瞬躊躇しますし、フェイクに引っかかってくれれば儲けものです。
さらに、ランプレーを使うことでこちらのウィークポイントである体力のなさを攻めることができます。
これにカットバックが上手く、ランプレーである程度進めることができるようなプレーヤーがいれば、「相手のストロングポイントを消しつつ、ウィークポイントを味方のストロングポイントで攻める」という理想的なオフェンスができます。
ハンドオフでうまくブリッツを避けつつ、ランプレーでディフェンスを前に出させておいて、疲れてきたところを裏にロングパス、というオフェンスをされていたら勝敗は危なかったかもしれません。
こちらのオフェンスのウィークポイントを挙げるとすれば、QBの意図がちゃんとレシーバーに伝わらないというのが多々あったので、そのへんは練習しかないかもしれませんが、大会までに修正していきたいと思っています。
ということで、試合のレビューを中心とした弱点の攻め方でした。